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痛風に関与するトランスポーターの一塩基多型の機能解明~痛風の病態解明と新規治療薬創製に期待~(薬学研究院 教授 小林正紀)

2023年11月8日

ポイント

●痛風に関与するヒトモノカルボン酸輸送体9(hMCT9)の一塩基多型の発現系構築に成功。
●hMCT9の二つの一塩基多型により、その輸送特性が変動することを解明。
●hMCT9をターゲットとした新規作用機序の痛風治療薬の創製に期待。

概要

北海道大学大学院生命科学院博士課程の山口敦史氏と同大学大学院薬学研究院の小林正紀教授らの研究グループは、部位特異的変異導入法及びアフリカツメガエル卵母細胞を用いた発現系を使用して、hMCT9の一塩基多型により輸送特性が変動することを解明しました。

hMCT9は二つの一塩基多型(rs550527563rs2242206)が知られています。rs55052756393番目のロイシン残基がメチオニン残基に変異しており(L93M)、早発型の痛風との関連が示唆されています。また、rs2242206258番目のスレオニン残基がリジン残基に変異しており(T258K)、腎負荷型の痛風との関連が示唆されています。しかしながら、これらの一塩基多型によりhMCT9の生体内での役割やトランスポーターとしての機能がどのように変動するかは不明でした。研究グループはこれまでにhMCT9野生型(WT)はクレアチンを輸送すること、高いpHNa+により輸送活性が増大するpHNa+感受性のトランスポーターであること、クレアチンに対して二つの異なる親和性を示すという特徴を有していることを明らかにしています。そこで、本研究ではhMCT9の二つの一塩基多型がトランスポーターとしての機能にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするために、L93MT258Kを作製しアフリカツメガエル卵母細胞に発現させて、hMCT9 WTと比較することとしました。

本研究によりhMCT9 L93Mによりクレアチン輸送活性が低下する傾向にあること、hMCT9 T258KではNa+感受性が消失し、クレアチンに対しては一つの親和性のみを示すことを明らかとしました。これらの結果から、hMCT9の一塩基多型によりその機能が変動することを明らかにしました。

なお、本研究成果は20231024日(火)にLife sciences誌にオンライン掲載されました。

論文名:Molecular characteristic analysis of single-nucleotide polymorphisms in SLC16A9/hMCT9.(SLC16A9/hMCT9一塩基多型の分子特性評価)
URL:https://doi.org/10.1016/j.lfs.2023.122205

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