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過去6,500万年間の大気CO2記録を更新~未来の気候に対する過去からの警鐘~(低温科学研究所 准教授 関 宰)

2023年12月8日

ポイント

●新生代の大気CO2濃度と気温の復元記録を精査。
●より信頼性の高い新生代の大気CO2濃度と気候の変動史を構築。
●将来の長期的な気候予測に対して鮮明な見通しを示す成果。

概要

世界16カ国の80人以上の研究者からなる「新生代CO2プロキシ統合プロジェクト(CenCO2PIP)」コンソーシアム(日本からは北海道大学低温科学研究所の関 宰准教授が参加)は、これまでに報告されている新生代(過去6,500万年間)の気候と大気二酸化炭素(CO2)濃度の復元記録を最新の知見に基づきあらゆる角度から再検証し、これまでより信頼性の高い気候と大気CO2濃度の変動史を描き出しました。CO2は温室効果ガスであり、現在進行中の地球温暖化の主因とされています。過去の温暖な時代における大気CO2濃度と気候の関係を知ることは、将来どの程度温暖化し得るのかを予測する上で重要な知見を与えてくれます。特に新生代は大部分の期間において現在よりも温暖であり、未来の温暖地球の類型とみなすことができます。この研究は、過去6,500万年にわたる地質学的記録を対象としていますが、現在の大気CO2濃度(約420ppm)を過去の時代に照らし合わせた結果、大気CO2濃度が現在のレベルに達したのは、現在よりも45℃温暖であったとされる1,400万年前であり、従来の考えよりもはるかに昔の時代であったことが示されました。また、長期的な気候変動は温室効果ガスに非常に敏感であり、その影響は何千年にもわたって連鎖的に進行する可能性があることも明らかになりました。このように、更新された新生代の大気CO2濃度と気温変動記録は、地球の気候がこれからさらに温暖化する可能性を示唆する結果となりました。

なお、本研究成果は、2023128日(金)公開のScience誌にオンライン掲載されました。

論文名:Towards a Cenozoic History of Atmospheric CO2(新生代の大気中二酸化炭素濃度の変動史に向けて)
URL:https://doi.org/10.1126/science.adi5177

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新生代(過去6,500万年間)の全球平均気温と大気中の二酸化炭素濃度の変化。