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道内の中核病院群を結んだ5G遠隔触診実験に成功~触覚情報と診察動画を統合・伝送し、遠隔で触感の再現を実証 医療手技の定量化や教育利用など、医療の高度化に貢献~(量子集積エレクトロニクス研究センター 教授 池辺将之)

2024年1月10日

ポイント

●遠隔医療の技術開発が進む中、実現困難だった遠隔で触診を行う技術の開発に成功。
●開発されたシステムは、触覚センシング・触覚の再現・触覚と動画の統合伝送・接続認証が可能。
●札幌市・帯広市・函館市を結ぶ「視て触れる」5Gリアルタイム遠隔触診の実証に成功。

概要

北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センターの池辺将之教授、同病院/大学院医学研究院の岩崎倫政教授、遠藤 努特任助教、同大学院情報科学院修士課程の野津綾人氏らの研究グループは、BIPROGY株式会社、株式会社テクノフェイス、慶應義塾大学、モーションリブ株式会社、株式会社AnchorZNTTコミュニケーションズ株式会社と共同で「視て触れる」新しい医療通信システムを実現し、2023913日(水)から104日(水)にかけて北海道大学病院・帯広厚生病院・函館中央病院の3拠点を結んだ遠隔触診の実験に成功しました。

外来診察では、医師は患者への聴聞、視診、触診とともにX線などの画像検査や採血検査などのデータを合わせて診断を確定します。特に整形外科医・皮膚科医・乳腺外科医などにとって患部の触診は極めて重要です。遠隔地では、触診できないことが対面診療と比較し誤診のリスクを上昇させる懸念から、遠隔医療の実現を困難にしてきました。また、数値化が困難な触診は熟練医師の経験に基づいてなされ、他の医師との共有が難しく、経時的な患部の形態変化や熱感などの触覚を再現することができませんでした。

そこで本研究では、触診向けセンシング機器及び力触覚技術「リアルハプティクス®」を活用した触覚情報の数値化と遠隔における再現、そして、②5Gを通じて「視て触れる」を可能にする、遠隔への信号伝送に不可欠な触覚情報と視診向けの高精細動画との連動技術を開発しました。この遠隔触診の実現は、DtoD(医師間伝送)を想定しており、センシング機器で送信側医師により取得した触診情報を動画フレーム毎に埋め込むことで、触覚情報と動画内の時空間が完全に同期して紐づけされ、視診向けの動画単体で触覚情報を含むコンテンツ・データベースとして機能できるようになります。リアルタイムの伝送においては遠隔触診を実現し、コンテンツの扱いにおいては触診履歴の蓄積保存とカルテなどの情報共有、触診の定量化など、教育にも展開することができます。

なお、本研究開発成果の一部は、20231017日(火)から20日(金)まで開催された「CEATEC 2023」のNEDOブースで体験型の展示が行われました。

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システムの社会実装イメージ。