2024年4月8日
北海道大学
理化学研究所
ポイント
●体の内部を、生きたままの状態で、観測可能な未踏の波長の光の利用に成功。
●体の内部を、より深く、より鮮明に、観測可能。
●ガン診断やガン治療への応用が期待。
概要
北海道大学大学院先端生命科学研究院の門出健次教授、マハデバ・スワミイ助教、同大学大学院農学研究院の村井勇太准教授、理化学研究所生命機能科学研究センター無細胞タンパク質合成研究チームの神 隆上級研究員(研究当時、ナノバイオプローブ研究チーム、チームリーダー)、坪井節子テクニカルスタッフⅠ(研究当時、ナノバイオプローブ研究チーム、テクニカルスタッフⅠ)らの共同研究チームは、短波赤外蛍光イメージングの医療応用に向けた蛍光色素の開発に成功しました。本成果は、短波赤外光を利用した非侵襲イメージング技術を医療応用するうえで非常に重要な基礎技術となります。
短波赤外蛍光イメージング技術の開発は、ここ数年世界的な研究競争が行われていますが、ヒトでの応用が可能な短波赤外蛍光色素の開発には成功していませんでした。今回、共同研究チームは、ヒトで唯一使用が認められているインドシアニングリーン(ICG)をベースに短波赤外蛍光を発する類縁体を開発し、短波赤外蛍光イメージングの医療応用への道を開きました。
本研究成果は、4月1日(月)公開のACS Applied Materials & Interfaces誌にオンライン掲載されました。
論文名:Biocompatible and water-soluble shortwave-infrared (SWIR) emitting cyanine-based fluorescent probes for in vivo multiplexed molecular imaging.(生体適合性かつ水溶性の短波長赤外(SWIR)発光シアニン蛍光プローブによるin vivo多重分子イメージング)
URL:https://doi.org/10.1021/acsami.4c01000
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可視光は生体組織を透過しないので生体内部を観測することはできないが、波長1000nm以上の短波赤外領域の蛍光を利用すると生体の深い部位が観測できる。