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超高速の光パターン照明手法を開発~次世代光産業、光科学の基盤的手法として期待~(電子科学研究所 教授 三上秀治、准教授 渋川敦史)

2024年4月9日

北海道大学
岡山大学
科学技術振興機構

ポイント

●超高速の光パターン照明手法を開発。
●独自開発の高速空間光変調器と、照明パターン形状を拡張する「すりガラス」により実現。
●生体計測の高速化・大規模化や金属3Dプリンタ・レーザ加工の生産効率向上に期待。

概要

北海道大学電子科学研究所の渋川敦史准教授、三上秀治教授、岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)の須藤雄気教授、韓国科学技術院(KAIST)生物・脳工学科のムサク・ジャング助教授らの研究グループは、超高速の光パターン照明手法の開発に成功しました。

空間光変調器(Spatial Light Modulator、以下SLM)は、複雑なパターンの照明を可能とする電子デバイスで、例えばプロジェクタの表示デバイスとして、世界中で普及しています。しかしながら、SLMのパターン切り替え速度は最短でも50マイクロ秒程度にとどまるため、その性能はこれまで十分に生かされていませんでした。

そこで、本研究では、SLMの構成を根本的に見直し、独自開発の1次元SLMと、照明パターンを拡張する「すりガラス」を組み合わせることで、市販のSLMの約1,500倍高速な、0.03マイクロ秒の切り替え速度を持つ超高速の光パターン照明手法を開発しました。この超高速の光パターン照明手法は、例えば従来のSLMでは不可能な生命機能の光計測や光操作(光遺伝学)の高速化・大規模化や金属3Dプリンタなどの光加工の生産効率向上など、様々な分野での応用が期待されます。

なお、本研究成果は、202448日(月)公開のNature Communications誌にオンライン掲載されました。

論文名:Large-volume focus control at 10 MHz refresh rate via fast line-scanning amplitude-encoded scattering-assisted holography(高速ラインビーム走査による散乱アシストホログラフィを用いた10MHz応答速度での高速焦点制御技術)
URL:https://doi.org/10.1038/s41467-024-47009-w

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開発した光パターン照明手法