2024年5月24日
ポイント
●酵素の加水分解作用をコントロールし、性質の揃ったナノ粒子を簡便に作成することに成功。
●光触媒や太陽電池、ナノ薬剤など多種多様なナノ材料を合成可能な新手法として期待。
●一例として、ペプチドと量子ドット(2023年ノーベル化学賞)による薬物キャリア性能を実証。
概要
北海道大学電子科学研究所(担当教育組織:同大学大学院環境科学院)の高野勇太准教授、ヴァスデヴァン・ビジュ教授、同大学大学院環境科学院博士後期課程3年のルマナ・アクター氏らの研究グループは、酵素の加水分解作用をコントロールすることで、性質とサイズの揃ったメゾスコピック粒子を簡便に作成するユニークなナノ粒子材料作成法(BNS法)を発明しました。
ナノ材料の中で、約10~1000ナノメートルの大きさを持つナノ粒子物質はメゾスコピック粒子と呼ばれており、その特殊な大きさのために従来のナノ材料とは異なるユニークな性質を持つことがあります。しかし、これまでのメゾスコピック粒子作成法には高い技術力が必要でした。
BNS法は、多種多様な酵素分解性物質と有機分子、または無機材料を組み合わせることで、様々なメゾスコピック粒子の作成に応用できます。そのため今回の研究の成果は、今後のナノ材料開発における原料の組み合わせに、膨大な数の選択肢を提供することができます。
なお、本研究成果は、2024年5月23日(木)公開のNanoscale Horizons誌に掲載されました。
論文名:Bio-catalytic nanoparticle shaping for preparing mesoscopic assemblies of semiconductor quantum dots and organic molecules(半導体量子ドットと有機分子によるメゾスコピック集合体を作り出すための生体触媒ナノ粒子成形法)
URL:https://doi.org/10.1039/d4nh00134f
詳細はこちら
本研究によるメゾスコピック粒子作成手順の概要