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インプラント周囲炎に対する光応答性ナノ複合体を開発~インプラント周囲炎の新しい治療法への応用に期待~(歯学研究院 助教 平田恵理)

2024年6月26日

北海道大学
名城大学

ポイント

●炭素ナノ材料のカーボンナノホーン(CNH)を用いた光応答性ナノ複合体(MC/HA/CNH)を創製。
●MC/HA/CNHは近赤外線照射によって抗菌効果が増強され、効果は長時間持続。
●歯科インプラント治療の問題であるインプラント周囲炎に対する治療法への応用に期待。

概要

北海道大学大学院歯学研究院の平田恵理助教、同大学の横山敦郎名誉教授、同大学大学院歯学院博士課程4年の小西大輔氏、同大学電子科学研究所の高野勇太准教授、名城大学大学院理工学研究科の湯田坂雅子特任教授らの研究グループは、インプラント周囲炎治療への応用を目指した光応答性ナノ複合体を開発しました。

歯科インプラント治療は失った歯を補綴(代替)する信頼できる方法ですが、近年、インプラントを喪失する原因であるインプラント周囲炎が深刻な問題として報告されています。そのため、インプラント周囲炎に対する効果的な治療法の開発が急務となっています。

カーボンナノホーン(CNH)は、光線力学効果を利用した薬物送達の担体として有望視されている炭素ナノ材料の一つです。研究グループは、CNHの特性である近赤外光による光線力学的作用を活かし、ミノサイクリン(MC)、ヒアルロン酸(HA)、CNHからなる光応答性ナノ複合体(MC/HA/CNH)を開発しました。

MC/HA/CNHは近赤外光照射によりMC単独よりも高い抗菌効果を示し、さらに、その効果は48時間の透析後も持続することが確認されました。すなわち、近赤外光が口腔粘膜を透過することから、光応答性ナノ複合体(MC/HA/CNH)によるインプラント周囲炎治療は、単回の薬剤投与後に光照射を繰り返すことで持続的な効果を得る可能性があります。本革新的アプローチは、将来のインプラント治療の発展に寄与するものと期待されます。

なお、本研究成果は2024614日(金)公開のNanoscale誌に掲載されました。

論文名:Near-infrared Light-boosted Antimicrobial Activity of Minocycline/Hyaluronan/Carbon Nanohorn Composite toward Peri-implantitis Treatments(インプラント周囲炎に対する近赤外光応答性ミノサイクリン/ヒアルロン酸/炭素ナノホーン複合体の開発)
URL:https://doi.org/10.1039/D4NR01036A

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本研究の概要図