2024年9月17日
ポイント
●東北地方沖太平洋から3種のメヒカリ類(アオメエソ属)の稚魚を発見。
●海底に着底した稚魚の急速な形態的変化の過程を解明。
●メヒカリ類の初期生活史解明の進展に期待。
概要
北海道大学総合博物館の木村克也資料部研究員と田城文人助教、及び水産研究・教育機構 水産資源研究所の三澤 遼研究員の研究グループは、東北地方沖太平洋からアオメエソ属魚類3種の稚魚を発見し、着底に伴う形態的変化の過程を明らかにしました。
アオメエソ属魚類は「メヒカリ」の名前で流通し食用として利用されている小型の深海性魚類です。日本に分布するアオメエソ属のうち最も普通種であるアオメエソは沖合底曳き網漁にとって特に重要な漁獲対象種で、2020年度からは水産資源評価の対象種にも指定されています。一方で、アオメエソ属の生態的知見は乏しく、仔稚魚の採集例も少ないことから、適切な資源管理のために必要な初期生活史に関する知見の多くは明らかにされていません。
2022年と2023年の秋季に東北地方沖太平洋で実施された底曳網調査において、複数のアオメエソ属の稚魚が採集されました。本研究でこれらの稚魚のDNAの遺伝情報と形態的特徴を調査した結果、3種のアオメエソ属(アオメエソ、ツマグロアオメエソ、トモメヒカリ)が含まれていることが分かりました。また詳細な形態観察の結果、アオメエソ属の稚魚は浮遊生活を終えて海底に着底した後に急速にその形態を変化させることが示唆されました。本研究の成果は、未だ不明点が多いアオメエソ属の初期生活史に関する研究の進展に貢献することが期待されます。
なお、本研究成果は2024年9月13日(金)公開のFishery Bulletin誌に掲載されました。
論文名:Descriptions of post-settlement juveniles of 3 greeneye species, Chlorophthalmus nigromarginatus, C. acutifrons, and C. albatrossis (Teleostei: Chlorophthalmidae), from Japan, with notes on their rapid metamorphosis after settlement(日本から採集されたアオメエソ属魚類3種の着底後稚魚の記載と着底後の急速な変態に関する記述)
URL:https://doi.org/10.7755/FB.122.4.4
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