2024年9月20日
北海道大学
東京大学
ポイント
●1ピクセルあたり10m×10mの高解像度で日本全国の森林地上部炭素蓄積量マップの作成に成功。
●全国の森林地上部炭素蓄積量が従来の地上調査よりも小さいことを解明。
●炭素クレジット計算への貢献に期待。
概要
北海道大学大学院農学研究院の加藤知道教授と同大学大学院農学院修士課程の李 瀚韬氏(現東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程学生)、東京大学大学院農学生命科学研究科、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、米国ジョージメイソン大学の研究グループは、1ピクセルあたり10m×10mの高解像度で、日本全国の森林地上部炭素蓄積量(=バイオマス)マップの作成に成功しました。
この研究では人工衛星PALSAR-2(JAXAだいち2号に搭載)、Sentinel2(欧州宇宙機関)等によるデータを入力に利用し、航空機レーザ測量による森林地上部バイオマス測定データを機械学習モデルに学習させることで、世界でも稀に見る高解像度でのマップ作成を可能にしました。
この研究による全国の森林地上部炭素蓄積量の総量は、1440±565 T(テラ=10の12乗) g Carbon(14.4±5.65億トン炭素)となりました。これは従来の全国地上調査による推定量よりも小さな値であることを示しました。
今回作成された森林地上部炭素蓄積量マップは、森林地上部バイオマス、材積、樹高とともにJAXAウェブサイトより公開する予定であり、どなたでも任意の地域の森林地上部炭素蓄積量を推定することができます。これにより、これまで人的・資金的に計測が困難であった小規模な自治体・企業・個人が所有する森林において、炭素クレジット推定を非常に容易にすることに繋がると考えられます。
なお、本研究成果は、2024年7月26日(金)にElsevierから刊行される自然科学分野の学術誌Remote Sensing of Environmentにオンライン掲載されました。
論文名:High-resolution mapping of forest structure and carbon stock using multi-source remote sensing data in Japan(複数リモートセンシングデータによる日本の森林構造・炭素蓄積の高解像度マップ化)
URL:https://doi.org/10.1016/j.rse.2024.114322
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