2024年10月15日
ポイント
●気象庁が提供するメソスケール気象データから融雪水量を時間単位で推定する手法の開発に成功。
●本手法は日本全国の任意の山地斜面に適用可能。
●融雪による土砂災害の発生予測や警戒避難への応用に期待。
概要
北海道大学大学院農学院博士後期課程(研究当時)の松永隆正氏、同大学大学院農学研究院の桂 真也助教の研究グループは、気象庁が提供するメソスケール気象データ(日本全国を1~5 km四方程度のメッシュでカバー)から、日本全国の任意の山地斜面における融雪水量を時間単位で推定する手法を開発しました。
日本の国土の半分を占める豪雪地帯では、冬期にもたらされる多量の降雪が春先の融雪期に融け出し、地下に浸透することで土砂災害を引き起こします。土砂災害の被害を軽減するためには、事前に発生タイミングを予測し、警戒避難につなげることが重要ですが、そのために必要な、日本全国の任意の山地斜面における融雪水量を時間単位で推定する手法は確立されていないのが現状です。
研究グループは、降雪、積雪、融雪に関わる全てのプロセスを、気象庁が提供するメソスケール気象データのみを用いて表現し、日本全国の任意の山地斜面における融雪水量を時間単位で推定する手法を開発しました。本研究成果は、融雪に伴う土砂災害の発生予測や警戒避難への応用が期待されます。
なお、本研究成果は、2024年10月9日(水)公開のJournal of Hydrology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Hourly Estimation of Water Reaching the Ground Surface in Snow-Covered Regions of Japan Using Mesoscale Meteorological Data with the Heat Balance Method(メソスケール気象データを用いた熱収支法による日本の積雪地域における地表面到達水量の時間単位での推定)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jhydrol.2024.131898
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