2024年11月22日
北海道大学
香川大学
名古屋市立大学
九州工業大学
広島国際大学
国際医療福祉大学
ポイント
●「人工呼吸器装着中の気管内吸引」がトレーニング可能な世界初のXRシミュレータを開発した。
●安全に、且つケアを受ける側の心情に配慮した実践的なトレーニングが可能となった。
●「教育と臨床の乖離」を縮小し、卒業時到達度やケアの質向上が期待される。
概要
北海道大学大学院保健科学研究院のコリー紀代助教らの研究グループは、世界初の人工呼吸器装着中の気管内吸引がトレーニングできるXRシミュレータを開発しました。
広島国際大学の二宮伸治教授、香川大学の小水内俊介准教授のご協力の下、気管内吸引カテーテルの操作の巧緻によりチアノーゼ、表情変化、酸素飽和度等の生体反応の変化を呈示するプロジェクションマッピングシミュレータであるEndotracheal Suctioning Training Environment Simulator(ESTE-SIM: 図1:エステシム)を開発し、続いて、人工呼吸器トレーニングアプリSimmar(図2:広国大 二宮研究室:ジマー)と統合、世界初の人工呼吸器装着中の気管内吸引トレーニングが可能なXRシミュレータ:Simmar+ESTE-SIMの開発に成功しました。名古屋市立大学の中村美鈴教授、国際医療福祉大学大学院の五十嵐真里講師と共同制作した人工呼吸器トレーニングシナリオを用いて、アンケートと行動認識により学習評価を行いました。動画を用いた行動認識は、九州工業大学、井上創造研究室との共同により、Simmar+ESTE-SIMを使用したトレーニング中のタスクを分類し表示する機能を開発し(図3)、International Journal of Activity and Behaviour Computing(行動認識計測に関する国際学会)においてBest Paper Awardを受賞しています(Vy, et al., 2023)。
本シミュレータにより、身体への侵襲度が高い行為であるとされ、病棟実習では学生が体験できない人工呼吸器トレーニングの学内での実施が可能となり、従来のシミュレータでは提示できないリアルタイムの生体反応を示せるため、患者の気持ちに寄り添ったケアのトレーニングが可能となりました。今後は、国際標準に準じたカリキュラム開発を目指し、国際共同研究ネットワークの構築を進めることとしています。
なお、本研究成果は、日本時間2024年9月30日(月)公開のJournal of Nursing Care & Reports誌(看護学の専門誌)に掲載されました。
論文名:Learning Effects of Mechanical Ventilator/Tracheal Suctioning XR Simulators and Extracting Decision Making Criteria to Introduce a Novel Simulator(人工呼吸器装着中の気管内吸引トレーニングが可能なXRシミュレータの学習評価と先駆的シミュレータをカリキュラムへの導入する際の意思決定尺度の抽出)
URL:https://doi.org/10.47485/2693-2326.1051
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