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ウェアラブルデバイスを用いた生物時計の可視化に成功~生物時計の乱れが関わる疾患の診断・治療への応用に期待~(教育学研究院 准教授 山仲勇二郎)

2025年2月3日

ポイント

●ウェアラブル体温計による深部体温リズムの測定精度を評価。
●ウェアラブル体温計から推定した概日リズム位相は直腸温リズムと同等の精度をもつことを発見。
●睡眠覚醒リズムや概日リズムの乱れが関わる疾患の診断・治療への応用に期待。

概要

北海道大学大学院教育学研究院の山仲勇二郎准教授、同大学大学院教育学院博士後期課程の久保田直子氏、北海道大学病院医療ヘルスサイエンス研究開発機構の岡田和史博士(特定専門職員)らの研究グループは、近年ヘルスケア分野で急速に発展しているウェアラブルデバイスを用いて、ヒトの生物時計が発振する概日リズムの状態を評価する方法を確立しました。

研究グループは、今回の研究で、ヒトの生物時計に強く制御される概日リズム指標である深部体温リズムに注目しました。研究グループは、健康な男女16名を対象に、腕時計型の活動量計、深部体温リズムの測定方法として信頼性・正確性が確立されている直腸温プローブ、皮膚表面に貼り付けて深部体温を推定するウェアラブル体温計を用いて、睡眠覚醒リズムと深部体温リズムを日常生活下で35日測定しました。その際、両体温計で測定された体温データから深部体温リズムの位相として深部体温リズムの最低値時刻を算出し、二つの測定方法の一致性及び信頼性を統計学的な手法を用いて検証しました。その結果、ウェアラブル体温計から推定された深部体温リズムの最低値時刻は、直腸温プローブを用いて測定された深部体温の最低値時刻と同等の精度をもち、高い再現性と一致度をもつことを明らかにしました。

本研究の成果により、睡眠覚醒リズムや概日リズムの乱れが関わる疾患や睡眠障害(概日リズム性睡眠障害)の診断・治療をする際に、ウェアラブル体温計を用いることで対象者の負担を軽減しながら、簡易に概日リズムの状態を評価し、スムーズな診断・治療につなげることが可能となることが期待されます。

なお本研究成果は、2025130日(木)公開の睡眠科学・睡眠医学に関する国際学術誌であるSleep Science誌にオンライン公開されました。

論文名:Circadian phase assessment of core body temperature using a wearable temperature sensor under the real world.(ウェアラブル体温計を用いた日常生活下における深部体温リズムの概日リズム位相の評価)
URL:https://doi.org/10.1055/s-0044-1800785

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