2025年2月4日
ポイント
●大雪山のお花畑で近年減少している植物種は、地下部の形態に共通の性質があることを発見。
●減少している種は、水平型地下茎が発達せず、細根が少なくて太いことが分かった。
●気候変動の影響を受けやすい高山帯において、絶滅リスクが高い植物種を特定するうえで役立つ。
概要
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター研究生の小林悠佳氏(研究当時 同大学大学院環境科学院修士課程)と小林 真准教授、同大学大学院地球環境科学研究院の工藤 岳准教授らの研究グループは、大雪山のお花畑で過去40年間で増加あるいは減少した高山植物12種の特徴をくまなく調べ、その違いを比較しました。解析の結果、減少した種は増加した種に比べて水平型地下茎が発達しておらず、養水分の吸収を担う細根が少なく太いことなどを明らかにしました。水平型地下茎や細根の発達が貧弱な植物は乾燥ストレスに脆弱であると考えられ、近年の地球温暖化によって引き起こされた土壌乾燥化の影響を受けて急速に減少したと考えられます。
なお、本研究成果は2025年1月6日(月)公開のAlpine Botany誌に掲載されました。
論文名:Belowground traits significantly differ between decreasing and increasing plant species in alpine meadows: implications for vegetation response to climate change(高山湿性草原において減少している種と増加している種では地下部の形質が顕著に異なる: 気候変動に対する植生応答への示唆)
URL:https://doi.org/10.1007/s00035-024-00325-9
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