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イチゴの味の違いが視えた!~定量的質量分析イメージング(MALDI-TOF q-MSI)で果実成分の濃度分布を可視化して比較~(農学研究院 特任教授 鈴木 卓)

2025年5月27日

ポイント

●イチゴ果実に含まれる糖、有機酸及びビタミンCの濃度分布の可視化に成功。
●各種成分の濃度分布に関する、品種ごとの特徴が明らかに。
●MALDI-TOF q-MSIデータを活用した良食味品種の育成の加速に期待。

概要

北海道大学大学院農学研究院の鈴木 卓特任教授、同大学大学院農学院博士後期課程の藤木卓巳氏を中心とする研究グループは、定量的質量分析イメージング(MALDI-TOF q-MSI)技術を用いて、イチゴの糖(ヘキソース及びスクロース)、有機酸(クエン酸及びリンゴ酸)並びにビタミンC(アスコルビン酸)含量の果実内分布を可視化し、イチゴ6品種の果実を材料に、成分分布の品種ごとの特徴を調べました。従来の質量分析イメージング法では異なる材料間の比較が困難であったため、研究グループは隣接する組織切片を用いた定量分析データを加味してイメージング画像を再構築した後、各材料を比較しました。その結果、品種を問わずヘキソースは果托の髄部(果芯)に多く、クエン酸は皮層部(果実の表層)に高濃度で分布することが分かりました。一方、スクロース、リンゴ酸及びビタミンCの分布様式は、品種ごとに異なっていました。このように、食味に影響する各種成分の果実内分布様式を視覚的かつ定量的に明らかにした例はこれまでに無く、今後イチゴの良食味果実を着生する系統選抜のツールとして、MALDI-TOF q-MSIの活用が期待されます。

なお、本研究成果は、202542日(水)公開のJournal of Food Composition and Analysis誌にオンライン掲載されました。

論文名:Using MALDI-TOF q-MSI for detailed comparison of varietal and tissue regional differences in strawberries(MALDI-TOF q-MSIを用いたイチゴの品種及び部位間差異の詳細な比較)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jfca.2025.107581

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