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イワナのあくびの長さは地域でちがう~動物のあくびの地域集団間変異を世界で初めて実証~(水産科学研究院 教授 和田 哲)

2025年5月12日

ポイント

●あくびは脊椎動物で広く観察されているが、あくびの集団間変異の発見例は世界初。
●四つの生息地で採集されたイワナの稚魚を比較して、あくびの持続時間に変異があることを発見。
●魚類だけでなく、動物界におけるあくびの理解への貢献に期待。

概要

北海道大学大学院水産科学院修士課程の長坂玲央氏、同大学大学院水産科学研究院の和田 哲教授、同大学水産科学院博士後期課程の山田寛之氏(研究当時、現 日本学術振興会特別研究員(PD))は、北海道南部に生息するイワナの稚魚であくびの地域集団間比較を行い、稚魚のあくびの持続時間が生息地ごとに異なることを明らかにしました。

本研究は、脊椎動物におけるあくびの地域集団間変異を実証した世界初の研究です。あくびは脊椎動物で広く観察されている行動であり、種間変異があることは知られていました。しかし、霊長類をはじめとする脊椎動物の全ての分類群で、あくびの地域集団間変異(種内変異)を検証した研究はありませんでした。恒温動物では、あくびの持続時間は、あくびの血流促進効果や脳の冷却機能などの生理的機能に直結すると考えられています。本研究の結果は、あくびの持続時間が地域集団ごとで異なる環境条件の影響を受けることや、独自の進化が生じる可能性を示唆しています。

本研究の成果は、他の動物でも同様に集団間変異が発見されうることを示唆し、動物界におけるあくびの理解にも重要な貢献を果たすことが期待されます。

なお、本研究成果は、202555日(月)公開のJournal of Ethology誌にオンライン掲載されました。

論文名:Fish yawn: interpopulation variation in yawning characteristics of juvenile white-spotted char Salvelinus leucomaenis(魚のあくび:イワナSalvelinus leucomaenisの稚魚におけるあくび行動の個体群間変異)
URL:https://doi.org/10.1007/s10164-025-00844-w

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あくびをするイワナの稚魚

※本プレスリリースの研究者である水産学部動物生態学研究室の和田 哲教授による
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