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水疱性類天疱瘡における水疱形成の病態解明~水疱性類天疱瘡の新規治療薬開発へ~(医学研究院 教授 氏家英之)

2025年6月10日

ポイント

●難病「水疱性類天疱瘡」は、皮膚を形成するタンパク質を誤って攻撃する「自己抗体」が原因。
●好酸球カチオン性タンパク質(ECP)と好酸球由来神経毒(EDN)が発症に関連。
●今後、水疱性類天疱瘡の治療として、ECPとEDNを対象とした治療薬の開発や応用に期待。

概要

北海道大学大学院医学研究院の伊東孝政助教、氏家英之教授、同大学大学院医学院博士課程2年の木村彩萌氏らの研究グループは、水疱性類天疱瘡の水疱形成に、好酸球から分泌される特定の顆粒タンパクが関与していることを発見しました。

水疱性類天疱瘡は、全身に水疱を生じる指定難病の一つで、自らの免疫(自己抗体)が皮膚を構成するタンパクを誤って攻撃することで発症する自己免疫疾患です。ステロイドなどの免疫抑制剤を長期間使用する治療法が確立されていますが、本来必要な免疫も抑制してしまうことで感染症にかかりやすくなり、さらには糖尿病や骨粗鬆症などの副作用が問題となっています。

本研究では動物モデルを用いた実験により、自己抗体の存在だけでは水疱が発症されず、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)と好酸球由来神経毒(EDN)という二つのタンパクが水疱形成に関与することを明らかにしました。さらに、上記のタンパクが水疱性類天疱瘡患者の血清や皮膚でも検出され、細胞実験を通じてその関与も確認しました。

これにより、ECP及びEDNを標的とした水疱性類天疱瘡の新たな治療法の有効性が示唆され、副作用の少ない治療薬の開発が期待されます。

なお、本研究成果は、202569日(月)公開のJournal of Allergy and Clinical Immunology誌にオンライン掲載されました。

論文名:Eosinophil-derived neurotoxin and eosinophil cationic protein are key molecules for blister formation in bullous pemphigoid(好酸球由来神経毒素及び好酸球カチオン性タンパクは、水疱性類天疱瘡における水疱形成の鍵となる分子である)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jaci.2025.04.028

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水疱性類天疱瘡の水疱形成には好酸球カチオン性タンパク質(ECP)と好酸球由来神経毒(EDN)が関連する。