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日本における絶滅種タカネハナワラビの再発見~希少種ミヤマハナワラビの新産地の同時発見を添えて~(総合博物館 助教 首藤光太郎)

2025年6月24日

北海道大学
国立科学博物館

ポイント

●有珠山で、噴火により絶滅したとされていたタカネハナワラビ17個体を、約半世紀ぶりに再発見。
●同時に、国内では絶滅寸前であるミヤマハナワラビの新産地を、道内で約半世紀ぶりに発見。
●絶滅と判定された維管束植物の再発見は極めて稀な事例であり、今後の保全活動が重要。

概要

日本データーサービス株式会社の平野遥人氏、草花堂(兼北海道大学総合博物館ボランティア)の藤田 玲氏、国立科学博物館の海老原淳研究主幹、北海道大学公共政策大学院の中山隆治教授、同大学総合博物館の首藤光太郎助教らの研究グループは、これまで国内では絶滅したと考えられてきたタカネハナワラビと、本種に近縁かつ希少なミヤマハナワラビ2種が、北海道有珠山で隣接して生育していることを発見・報告しました。

タカネハナワラビは、国内では1976年に北海道有珠山で一度だけ採集記録のあるシダです。発見の翌年に有珠山が噴火し生育地が壊滅したこと、その後生育記録がないことから、環境省第5次レッドリストで絶滅(EX)とされた26種の維管束植物のうちの1種となりました。ミヤマハナワラビも、国内では北海道と本州中部の亜高山帯でのみ記録があり、環境省のレッドリストでは最も絶滅リスクの高い絶滅危惧IA類(CR)に指定されている国内では極めて希少なシダの一種です。

本研究により、タカネハナワラビが国内では約半世紀ぶりに再発見され、ミヤマハナワラビの貴重な現存集団も新たに発見されることになりました。同レッドリストで絶滅と判定された維管束植物の再発見は、極めて稀な事例です。ミヤマハナワラビは、道内では約半世紀ぶりの発見となりました。ただし確認株数はいずれも少なく、今後保全活動が必要です。

なお、本研究成果は、2025620日(金)発行の植物研究雑誌(Journal of Japanese Botany)の1003号(株式会社ツムラが発行する学術誌)に掲載されました。

論文名:Rediscovery of Botrychium boreale (Ophioglossaceae), a Fern Species Extinct in Japan, with a New Record of B. lanceolatum on Mt. Usu in Hokkaido(北海道有珠山における絶滅種タカネハナワラビの再発見と絶滅危惧種ミヤマハナワラビの新産地発見)
URL:https://doi.org/10.51033/jjapbot.ID0284

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有珠山で発見されたタカネハナワラビ(左)ミヤマハナワラビ(右)