新着情報

ホーム > 新着情報 > プレスリリース(研究発表) > 認知症高齢者の睡眠覚醒パターンと概日リズムの特徴を解析~認知症高齢者の睡眠改善を目的とした生活リズム・環境整備にむけたデータを提供~(教育学研究院 准教授 山仲勇二郎)

認知症高齢者の睡眠覚醒パターンと概日リズムの特徴を解析~認知症高齢者の睡眠改善を目的とした生活リズム・環境整備にむけたデータを提供~(教育学研究院 准教授 山仲勇二郎)

2025年7月4日

北海道大学
株式会社フロンティア

ポイント

●グループホームで生活する認知症高齢者の睡眠覚醒リズムは三つのパターンに分類できる。
●日中に定期的に仮眠をとる認知症高齢者は睡眠時間が長い一方で深部体温リズムが不安定。
●認知症高齢者の睡眠の質を改善するには光環境の改善や社会的交流の充実が有効である可能性。

概要

北海道大学大学院教育学研究院の山仲勇二郎准教授、同⼤学⼤学院教育学院博⼠後期課程(研究当時)の久保⽥直⼦⽒、株式会社フロンティアの増川直樹氏らの研究グループは、グループホームに入居する認知症高齢者の睡眠及び概日リズムの実態を明らかにすることを目的として、マット式の行動計を用いた在床中の活動量と睡眠パラメータの解析を行い、睡眠パターンと要介護度・日常生活自立度との関係、並びに概日リズムの安定性を評価しました。

国内五つのグループホームに入居する認知症高齢者70名を対象に、ベッド内に設置されたマット式行動計によって2週間にわたり取得された体動データを用いて、睡眠パターン及び睡眠の質を分析しました。その結果、対象者の睡眠パターンは、①夜間に主睡眠が集中するタイプ、②夜間に加えて日中に規則的な仮眠がみられるタイプ、③規則的な睡眠パターンがみられないタイプの三つに分類されることが明らかとなりました。また、睡眠パターンと要介護度・日常生活自立度との間には有意な関連は認められませんでした。

さらに、一部の対象者には貼り付け型体温計を装着してもらい、睡眠覚醒リズムと深部体温リズムの時間関係を解析した結果、深部体温リズムが不安定となっており、睡眠覚醒リズムと深部体温リズムの時間関係は個人内及び個人間でのばらつきが大きく、深部体温リズムの振幅が低下していることが明らかとなりました。

本研究は、グループホームで生活する認知症高齢者の睡眠覚醒リズム及び概日リズムの評価手法とその実態を示すと共に、睡眠の質を改善するための具体的な支援方法を検討するうえでの基盤となる知見を提供するものです。

なお本研究成果は、2025627日(金)公開の国際学術雑誌Biogerontologyにオンライン公開されました。

論文名:Variety of sleep and circadian rhythms of elderly dementia patients living in group home residences(グループホームに入所する認知症高齢者の睡眠と概日リズムにみられる多様性)
URLhttps://doi.org/10.1007/s10522-025-10280-5

詳細はこちら