新着情報

ホーム > 新着情報 > プレスリリース(研究発表) > 国立公園を支える利用者負担の実態を解明~自然環境保全や施設の維持管理に利用者の受益者負担を求める事例が急増~(農学研究院 教授 愛甲哲也)

国立公園を支える利用者負担の実態を解明~自然環境保全や施設の維持管理に利用者の受益者負担を求める事例が急増~(農学研究院 教授 愛甲哲也)

2025年7月2日

ポイント

●全国の国立公園で1990年頃から利用者負担がはじまり、2020年頃より急増している。
●入域料、自治体・民間の資金調達、保護と利用の好循環による127事例を確認。
●利用者負担の自然公園制度への位置づけはなく、公費との分担や公平性に課題がある。

概要

北海道大学大学院農学研究院の愛甲哲也教授らの研究グループは、環境省と共同で2023年に全国35の国立公園における利用者負担の実態について調査を行いました。

国立公園では、自然環境の保全や施設の維持管理のための予算の不足などにより、利用者に費用負担を求める事例が増えてきています。入園料や入山料の導入は、審議会等でも度々議論の対象となってきたものの、自然公園制度上に位置づけられるには至っていません。2023年度の調査では全国の国立公園で127件の入域料、自治体・民間の資金調達、保護と利用の好循環の取り組みが確認されており、年々増加傾向にあります。国内外の費用負担に関する議論を踏まえて、国内における検討経緯と導入事例を分析しました。それにより、どのような事業に予算の不足による影響があるかを明確にし、公費と利用者による費用負担との分担を検討し、事前の調査結果を踏まえて地域関係者と合意形成を行い、公平性に配慮した仕組みづくりが求められるとの結論を得ました。

なお、本研究成果は、202571日(火)公開の、「林業経済研究」に掲載される予定です。

論文名:国立公園における利用者による費用負担の展開とそのあり方に関する考察

詳細はこちら


国立公園における利用者負担の導入推移