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農業廃棄物から樹脂原料をつくる触媒反応を開発~ゼオライト触媒を用いたバイオフェノール合成経路の探索~(触媒科学研究所 教授 中島清隆)

2025年7月10日

ポイント

●農業廃棄物であるカシューナッツ殻の主成分からフェノールを合成する固体触媒反応を開発。
●固定床流通式反応器により連続的かつ効率的なフェノール合成を実現。
●未利用バイオマスからの高付加価値化学品の製造によりカーボンニュートラルに貢献。

概要

北海道大学大学院環境科学院博士前期課程の入場啓介氏、同大学触媒科学研究所のヤン・ヨハネス・ウィズフェルド特任助教、大須賀遼太助教、菅沼学史准教授、中島清隆教授らの研究グループは、カシューナッツ殻液(Cashew nutshell liquid, CNSL)から得られるカルダノールの誘導体であるハイドロカルダノールを原料として、高効率でフェノールを合成可能な新しい触媒反応を開発しました。

カシューナッツ殻は、世界で年間約400万トンが廃棄される農業廃棄物であり、そこから抽出されるCNLSにはフェノール類縁体が豊富に含まれています。したがって、CNLS由来のカルダノールやその誘導体から重要な基幹化学品であるフェノールを合成することができれば、カーボンニュートラルの実現に貢献することができます。研究グループは、H-ZSM-5ゼオライト触媒によるトランスアルキル化反応を活用し、フェノールを95%以上の収率で合成、さらに炭素収支が99%以上という高効率の反応系を構築しました。さらに、固定床流通反応器を用いた連続プロセスも確立しており、工業規模での応用に向けた基盤を構築しました。この高効率の触媒反応では、ゼオライト触媒が持つ特徴的な細孔構造と酸性質が重要な役割を果たしています。

本研究はアイントホーフェン工科大学(オランダ)の研究グループ(エミール・JM・ヘンセン教授)との国際共同研究として実施され、その成果は2025618日(水)公開のChemSusChem誌に共著論文としてオンライン掲載されました。

論文名:Bio-Based Phenol from Cashew Nutshells by Catalytic Hydrocardanol Trans-Alkylation Using H-ZSM-5 Zeolite(H-ZSM-5ゼオライト触媒を用いたカシューナッツ殻由来のハイドロカルダノールのトランスアルキル化反応によるバイオフェノール合成)
URL:https://doi.org/10.1002/cssc.202500401

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H-ZSM-5ゼオライト触媒を用いたハイドロカルダノールのトランスアルキル化反応によるバイオフェノールの合成