2025年7月30日
ポイント
●環境省エコチル調査データを用いて出生体重別(500gごと)に成長曲線を作成。
●出生体重が小さい子ほど生後に急速に成長し、大きい子は緩やかで、いずれも平均に近づくと判明。
●本成長曲線は、臨床や保健の場で子どもの発育支援に役立つツールとなることを期待。
概要
北海道大学環境健康科学研究教育センターの山口健史特任准教授らの研究グループは、環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の約10万人のデータを用いて、出生体重別(500gごと)に0歳から4歳までの成長曲線を作成しました。
小さくあるいは大きく生まれた子どもは、生後の成長パターンが異なることは知られていますが、具体的にどのような成長経過をたどるのかは十分に分かっておらず、成長を見守るうえで参考となる評価ツールも存在しませんでした。
出生体重を500gごとに(500~999g、1,000~1,499g、1,500~1,999g、2,000~2,499g、2,500~2,999g、3,000~3,499g、3,500~3,999g、4,000g以上)、八つの成長曲線を作成しました。出生体重が2,500g未満の子どもは、4歳までに大きくなり平均に近づく成長がみられました。一方で、3,500g以上で生まれた子どもは、生後に成長が緩やかになり、4歳までに平均に近づいていく傾向がありました。
本研究で作成された出生体重別の成長曲線が、医療や保健の現場で活用され、小さく・大きく生まれた子どもの発育支援に役立つことが期待されます。
なお、本研究成果は、2025年7月12日(土)公開のClinical Pediatric Endocrinology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Japanese growth charts stratified by birth weight in 500-gram increments: Findings from the Japan environment and children's study(出生体重別500gごとの成長曲線:エコチル調査の結果から)
URL:https://doi.org/10.1297/cpe.2024-0063
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体重と身長の中央値曲線
グレーの線は体重と体長・体高の日本の基準線。小さく生まれた子(出生体重2,499g以下のグループ)はキャッチアップ成長がみられ、大きく生まれた子(出生体重3,500g以上のグループ)はキャッチダウン成長がみられる。