2025年9月25日
北海道大学
北海道科学大学
ポイント
●オゾン化オリーブ油はメラノーマ細胞の増殖を抑制し、フェロトーシス関連遺伝子群を誘導。
●オゾン化オリーブ油によるメラノーマ細胞増殖抑制はフェロトーシスの阻害剤処理で回復。
●メラノーマの新規治療薬や治療戦略開発に期待。
概要
北海道大学大学院薬学研究院の松田 正教授及び北海道科学大学の柏倉淳一教授らの研究グループは、オゾン化オリーブ油がメラノーマ細胞増殖に対して新たな効果を有することを見出しました。
オゾン化オリーブ油は褥瘡や潰瘍の皮膚疾患に治療効果が報告されており、化粧品や消毒用途で使用されています。メラノーマは皮膚を中心として全身において、メラニン細胞の遺伝子変異でがん化した皮膚がんであり、他臓器への転移では5年以内の死亡率が高いがん種です。近年では、免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬の開発により、メラノーマ治療は飛躍的に進歩しておりますが、いまだに新たな治療アプローチも必要とされています。
本研究において、オゾン化オリーブ油にメラノーマ細胞増殖抑制効果があることが示されました。さらに、その効果は、鉄依存性細胞死として新たに同定されたフェロトーシスによることも明らかとなりました。オゾン化オリーブ油やその作用メカニズムであるフェロトーシスを利用したメラノーマの新規治療薬や治療戦略の開発が進むことが期待されます。
なお、本研究成果は、2025年9月17日(水)公開の国際的科学雑誌Biochemistry and Biophysics Reportsにオンライン掲載されました。
論文名:Ozonated olive oil inhibits melanoma proliferation by inducing ferroptosis(オゾン化オリーブ油はフェロトーシス機構を介してメラノーマ細胞増殖を阻害する)
URL:https://doi.org/10.1016/j.bbrep.2025.102267
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