2025年10月23日
ポイント
●犬や猫から分離された緑膿菌197株を全国19都道府県・111施設で調査。
●全体の約18%がカルバペネムに非感受性を示し、ヒト由来株と共通するクローンも確認。
●動物と人に関わる耐性菌の理解を深める成果であり、One Healthの視点での継続的調査が重要。
概要
北海道大学大学院獣医学研究院のジラチャヤ・トイティン-平石博士研究員、同大学大学院獣医学研究院、同大学One Healthリサーチセンターの佐藤豊孝准教授らの研究グループは、2024年に、全国19都道府県の111の動物病院から収集した伴侶動物(犬・猫)由来の緑膿菌株について、各種抗菌薬に対する感受性の評価と、耐性菌株の性状解析を実施しました。
その結果、全体の約18%が人の医療上重要なカルバペネム系抗菌薬に対して非感受性を示し、人由来株と共通する菌株系統も確認されました。これらの知見は、薬剤耐性緑膿菌が人と犬・猫の双方に関わる可能性を示しており、今後は「One Health(ワンヘルス)」の視点から継続的に調査を進めることが重要です。本研究は、薬剤耐性菌の実態をより正しく理解するうえで重要な知見を提供し、薬剤耐性菌対策や、人と動物が安心して共に暮らせる社会づくりへの貢献が期待されます。
なお、本研究成果は2025年9月19日(金)に国際科学誌Journal of Antimicrobial Chemotherapyにオンライン掲載されました。
論文名:Potential human health risk of carbapenem-non-susceptible Pseudomonas aeruginosa from companion animals.(伴侶動物由来カルバペネム非感受性緑膿菌のヒトへの潜在的健康リスク)
URL:https://doi.org/10.1093/jac/dkaf338
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