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北限域のニホンウナギ、生息の鍵は「夏の水温」~北海道南部105河川の調査から見えたウナギの分布を決める流域特性~(北方生物圏フィールド科学センター 教授 岸田 治)

2025年12月24日

北海道大学
東京大学
海洋研究開発機構

ポイント

●北海道南部の105河川の大規模な捕獲調査により、ウナギが生息しやすい川の特徴を明らかに。
●ウナギの活動時期にあたる夏季の水温がウナギの生息数を左右する主要因。
●流域の土地利用や地質の違いが夏季水温を通してウナギの分布を形成していることを示唆。

概要

北海道大学大学院環境科学院修士課程の村松寛太氏(研究当時、現 長野西高等学校教諭)と同大学北方生物圏フィールド科学センターの岸田 治教授は東京大学、海洋研究開発機構と共同で、北限域のニホンウナギ(Anguilla japonica)がどのような河川にいるのかを明らかにしました。

北海道南部105河川で黄ウナギ(以下、「ウナギ」)の生息状況を調査し、52河川で計222個体を確認しました。調査の結果、ウナギが多く確認される川がある一方で、まったく確認されない川もあること、さらにこれらの生息状況が地域的なまとまりをもって現れることが分かりました。生息状況の違いを生み出す要因を解析したところ、春に河口付近へ接岸する稚魚(シラスウナギ)の量だけでなく、活発に採餌する夏季の河川水温がウナギの生息数を左右する主要因であることが示されました。具体的には、夏季水温の高い川ほどウナギが多く確認される傾向がありました。夏季水温の違いは、流域の土地利用(農地・市街地と森林の面積割合)や地質(砂岩性地質と火山性地質の面積割合)の違いと関連していました。特に、流域に占める農地・市街地の面積割合が大きく、森林が相対的に少ない川や、砂岩地質の面積割合が大きく火山性地質の面積割合が小さい川では、夏季水温が高くなる傾向がありました。つまり、こうした流域特性をもつ川は夏季水温が高く、ウナギにとって生息しやすい環境が形成されていると考えられます。また地質や土地利用が似た近隣の川では水温も似るため、ウナギの確認数にも地域的なまとまりが生じていたと推察されました。

本研究成果は、20251223日(火)公開のPNAS Nexusでオンライン掲載されました。

論文名:Thermal constraints on the distribution of Japanese eel (Anguilla japonica) at its northern limit: links to land use and geology(北限域におけるニホンウナギの分布を決める水温制約―土地利用・地質との関連性)
URL:https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgaf384

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北海道南部の川で捕獲されたニホンウナギ