2025年12月12日
ポイント
●1998-2022年に北太平洋で海洋の温暖化、基礎生産の減少、極端現象が起きていたことを解明。
●サケ生息海域の南部は縮小し、北部は拡大していたことを発見。
●日本産のサケ量の減少は、北太平洋の摂餌海域・越冬海域の減少と一致。
概要
北海道大学北極域研究センターのアラビア アイリーン ドロルフィーノ特任助教、齊藤誠一研究員、ホルヘ ガルシア モリノス准教授、平田貴文特任准教授、帰山雅秀研究員、同大学大学院水産科学研究院の上野洋路教授、北見管内さけ・ます増殖事業協会の宮腰靖之博士、Green Life Innovation Inc.の高橋文宏氏らの共同研究グループは、1998年から2022年における北太平洋の海洋環境の変化と日本産サケのバイオマス動態との関係を分析しました。その結果、サケの摂餌海域と越冬海域が著しく変化しており、特に北太平洋の生息南限における生息域が減少し、生息北限はベーリング海北部やチュクチ海南部へ拡大していたことが分かりました。海洋温暖化、動物プランクトン量の減少、海洋熱波などによる複合要因がサケの摂餌・越冬海域の減少をもたらし、日本産サケのバイオマス減少と連動していました。
なお、本研究成果は、協定世界時間2025年12月3日(水)公開のScientific Reports誌に掲載されました。
論文名:Climate-driven shifts in marine habitat explain recent declines of Japanese Chum salmon(気候変動によるサケ生息海域の変化が日本産サケの減少を説明する)
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-025-26397-z
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1998年から2022年までの越冬期におけるサケの季節生息海域の変化の空間分布。
(a)冬季(12月-2月)、(b)春季(3月-5月)、(c)夏季(6月-8月)、(d)秋季(9月-11月)



















