2025年12月15日
ポイント
●北海道では年間4.1%もの高齢者が「適切な外来診療を受けることで回避可能な入院」を経験。
●居住地域の外来や在宅医療、リハビリテーションへのアクセスが悪いと入院率が高い傾向。
●「回避可能な入院」をモニタリングすることにより、必要な医療・介護提供体制の構築につなげる。
概要
北海道大学大学院医学研究院の阿部計大講師、古元重和教授、同大学大学院保健科学研究院の大橋和貴特任講師、小笠原克彦教授の研究グループは、北海道の国民健康保険と後期高齢者医療制度の診療報酬明細書(レセプト)データを用いて、2022年下半期に2回以上外来受診していた65歳以上の高齢者1,272,960人を1年間追跡し、「適切な外来診療を受けることで回避可能な入院」を経験したかどうかを分析しました。これは、これまでにない規模のリアルワールドデータを用いた研究です。
その結果、年間4.1%の高齢者が「回避可能な入院」を経験しており、居住地域によって入院率のばらつきを認めました。外来や在宅医療、リハビリテーション施設へのアクセスが良い地域の入院率は低く、一方で高齢者単身世帯割合が高い地域では入院率が高い傾向を認めました。
今後、外来や在宅医療、リハビリ体制を充実させ、独居高齢者世帯への支援や医療と介護のより密な連携を推進することによって、高齢者の「回避可能な入院」を低減できる可能性があります。また、地域ごとに「回避可能な入院」をモニタリングすることにより、住民の外来・在宅への潜在的ニーズを把握し、今後の地域医療計画や介護保険事業計画の立案に活かすことができると考えられます。
なお、本研究成果は、米国中部時間2025年12月12日(金)公開のJAMA Network Open誌に掲載されました。
論文名:Regional Factors and Ambulatory Care-Sensitive Condition Hospitalizations in Older Japanese Adults(高齢者における回避可能な入院と居住地域要因との関係)
URL:https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.49457
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