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魚類の「鮮度(K値)」の数理的予測モデルの開発に成功~魚類の商品価値向上・寿命延長・フードロス低減・輸出促進への貢献に期待~(工学研究院 坪内直人 准教授)

2026年1月29日

北海道大学
北海道立工業技術センター

ポイント

●鮮度指標K値をATP関連化合物の分解挙動に基づき推定する数理的予測モデルを開発。
●本K値予測モデルの妥当性と汎用性をマアジ・マサバ(文献値)・ホッケ(実測値)で実証。
●本モデルはK値のみならず旨味成分(IMP)量の時間変化も良好に再現・予測することが可能。

概要

北海道大学大学院工学研究院の坪内直人准教授と篠原祐治博士研究員の研究グループは、致死後の魚類に係るアデノシン三リン酸(ATP)関連化合物の分解挙動に基づき、(ATP+アデノシン二リン酸+アデノシン一リン酸)⇒イノシン酸(IMP)⇒(イノシン+ヒポキサンチン)の一次不可逆逐次反応を仮定し、速度定数に温度依存性を有する鮮度K値の数理的予測モデルを開発しました。また、北海道立工業技術センター(函館地域産業振興財団)の吉岡武也専門研究員と共同で、このK値予測モデルの妥当性と汎用性をマアジ・マサバ(文献値)及びホッケ(実測値)で実証しました。なお、本モデルは旨味成分であるIMPの濃度の時間変化も良好に再現・予測することができます。

これまでも、液体クロマトグラフ法・光学法・電気泳動法・経験的推算法・デバイス法などの鮮度評価技術が検討されており、その中でも液体クロマトグラフ法は日本農林規格(JAS)によるK値試験法の基本となるものです。しかし、魚類の肉片をサンプリングし分析するため時間がかかり、また、サンプリング時に魚体を傷つけてしまいます。光学法は蛍光分析を使用する方法で、光学系の調整に時間を要します。そのため、鮮度を非接触で評価でき、さらに、流通経路において鮮度情報をリアルタイムで提供できる技術の開発が強く望まれていました。

開発した数理的予測モデルは、複数の魚種に対して高い精度で適用できることが実証されたので、今後は鮮度管理システムやセンサーデバイス等の理論的基盤となる技術に繋げます。

なお、本研究の成果は、2026120日(火)に、Journal of Food Engineering誌にオンライン掲載されました。

論文名:Predictive model for estimating fish freshness based on adenosine triphosphate deg-radation in marine fish: Application to Atka mackerel (Pleurogrammus azonus)(海水魚中のアデノシン三リン酸の分解挙動に基づく鮮度予測モデルの構築:ホッケへの適用)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jfoodeng.2026.112987

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