2026年1月6日
北海道大学
科学技術振興機構
ポイント
●雄の生殖機能を「生体内でリアルタイム可視化」できる世界初のノックインマウスを開発。
●薬剤・環境化学物質・放射線による精子形成障害・回復過程を、同一個体で経時的・定量的に追跡可能。
●従来の交配試験・解剖に依存しない生殖毒性評価の実現と使用動物数の削減(3Rs促進)に期待。
概要
北海道大学大学院保健科学研究院の福永久典准教授(環境健康科学研究教育センター副センター長)、同大学大学院医学研究院の白土博樹教授、大阪大学微生物病研究所の宮田治彦准教授、英国クイーンズ大学ベルファストのケヴィン プライズ教授らの国際共同研究グループは、雄マウスの精子形成を生体内でリアルタイム可視化できる新しい遺伝子改変動物モデルの開発に成功しました。
男性生殖機能に対する医薬品・環境化学物質・放射線などの影響を調べる生殖毒性試験は、新薬開発や環境リスク評価に不可欠です。しかし従来は、マウスを交配させて受胎を確認したり、解剖して精巣組織を解析したりするなど、時間・労力・個体数のコストが大きい方法が主流でした。
本研究で開発した「Acr-Luc ノックイン(KI)マウス」は、生殖細胞がルシフェリン反応により発光するため、特殊なカメラで精子形成の過程を体外から非侵襲的に連続測定できます。したがって、生殖毒性試験の効率化だけでなく、創薬研究、環境曝露評価、がん治療後の男性不妊リスク検討に関する研究など多様な応用が期待できる革新的モデルです。また、必要な動物数を削減できることから、国際的に推進される「動物実験の原則3Rs」の実現に寄与する技術基盤としても期待されます。
なお、本研究成果は、2026年1月4日(日)公開の「MedComm」誌にオンライン掲載されました。
論文名:Longitudinal Analysis of Male Fertility Using an Acr-Luc Knock-In Mouse Model: A Preclinical Platform for Reproductive Toxicity Testing(Acr-Luc ノックインマウスを用いた雄生殖機能の経時的解析:生殖毒性試験のための前臨床プラットフォーム)
URL:https://doi.org/10.1002/mco2.70568
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新たに開発された精子形成可視化マウス「Acr-Luc ノックインマウス」
ルシフェリン投与により生殖細胞(精子など)が発光する性質をもつ。



















