2026年1月16日
ポイント
●炭素数6のグルコースを炭素数4及び2の低級炭水化物へと変換する固体触媒反応を開発。
●比較的安価な固体触媒を用いた簡便な手法により、目的化合物を効率よく合成することが可能。
●石油化学工業に依存しない炭素循環型化学産業の構築に貢献。
概要
北海道大学触媒科学研究所のナヴヤ・サブレイ・バット非常勤研究員(研究当時)、大須賀遼太助教、中島清隆教授らの研究グループは、植物の主要な構成成分であり自然界に豊富に存在するグルコースを原料として、炭素数4の希少糖であるエリスロース(ERT)と炭素数2の炭水化物であるグリコールアルデヒド(GA)を高い選択率で合成できる新しい触媒反応系を開発しました。
化学産業におけるCO2排出量の大幅削減を達成するためには、現在の化学産業を下支えしている炭素数2~4の炭素骨格をもつ汎用分子(エチレン、プロピレン、ブテン)を、非可食バイオマスをはじめとする再生可能炭素資源から供給できる技術が不可欠です。しかし、これまでにバイオマス由来原料から汎用分子の基盤となる低級炭水化物を効率的に大量合成する有効な方法はありませんでした。
本研究では、グルコースのもつ特定の炭素―炭素結合を選択的に切断すること、及び反応性の高いERTとGAを安定に回収することを同時に可能にする新しい触媒技術を確立しました。この手法は、従来は達成できなかった課題を克服し、グルコースから次世代の汎用分子となり得るERTとGAを極めて短時間で選択的に合成することを可能としました。本成果は、再生可能炭素資源の高度利用の基盤となり、カーボンニュートラル社会の実現に資する重要な要素技術となります。
本研究は、東北大学(藪下瑞帆助教、加藤英樹教授)、名古屋大学(谷口博基教授、唯美津木教授)及びアイントホーフェン工科大学(オランダ、エミール・J・M・ヘンセン教授)との多角的な国際共同研究として実施され、2025年12月19日(金)公開のACS Catalysis誌に共著論文としてオンライン掲載されました。
論文名:Catalytic In Situ Acetalization Strategy for High-Yield Synthesis of C4- and C2‑Carbohydrate Derivatives from Glucose(触媒的その場アセタール化戦略によるグルコースからのC4・C2炭水化物誘導体の高収率合成)
URL:https://doi.org/10.1021/acscatal.5c08041
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