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恐竜時代から始まっていた"鳥のような首"~新手法で骨の形から首の動きの進化を解明~(総合博物館 教授 小林快次)

2026年2月26日

ポイント

●⾻の形から、鳥類とワニ類の「首の動き」を数値で測る世界初の手法を開発。
●この手法により、化石から恐竜の首の動きを復元することに成功。
●鳥類のような柔軟な首の動きは、すでに恐竜の時代に始まっていたことを発見。

概要

北海道大学大学院理学院博士後期課程の宇津城遥平氏と、北海道大学総合博物館の小林快次教授は、骨の形だけから、すでに絶滅した動物の「首の動き」を復元できる新たな分析手法を開発しました。本研究では、現生のワニ類と鳥類を対象に、頚椎(首の骨)の形態と実際の動作を詳細に比較しました。その結果、骨の形態に含まれる情報から、首の可動性や動作パターンを高い精度で推定できることを明らかにしました。

鳥類は、三次元的で複雑な首の動きを可能にする特殊な構造をもつことで知られています。しかし、その高度な運動能力が、いつ、どのように進化したのかは、これまで十分に解明されていませんでした。その最大の理由は、「動き」が化石に直接残らないため、恐竜などの絶滅動物の首の動作を復元することが極めて困難だったからです。

本研究では、「関節可動効率」という新たな指標に着目し、首の骨の形態から"動きやすい関節"を数値的に評価する手法を確立しました。その結果、ワニ類では首の前方と後方の2か所、鳥類では前方・中央・後方の3か所に、特に可動性の高い関節が集中していることが明らかになりました。これらの分布は、実際に観察される首の動きとも高い一致を示していました。

さらに、この手法を獣脚類恐竜の化石に応用したところ、種ごとにワニ型・鳥型のいずれかに近い動作特性が認められました。これは、鳥類特有と考えられてきた複雑な首の動きが、すでに恐竜の時代に起源をもっていた可能性を示しています。

なお、本研究成果は、2026127日(火)公開のJournal of Morphology(形態学の専門誌)にオンライン掲載されました。

論文名:Functional morphology of the archosaur neck provides evolutionary insights into the avian neck flexibility (主竜類の機能形態が示す、鳥類の柔軟な頚部動作への進化的知見)
URL:https://doi.org/10.1002/jmor.70114

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本研究の概略図:
恐竜から鳥へ、首の柔軟性の進化。典型的な恐竜(左:可動部2か所)から、恐竜のマニラプトル類(中央:3か所)、現生鳥類(右:3か所)へ