2026年2月27日
北海道大学
富山大学
ポイント
●遊泳性の単細胞生物ソライロラッパムシがすみっこに好んでくっつくことを発見。
●体の形の切り替えによって周囲のすみっこ空間を見つけていることが明らかに。
●環境中のミクロな構造物の形状が生態系に与える影響を示唆。
概要
北海道大学電子科学研究所の越後谷駿特任助教、大村拓也助教、中垣俊之教授、西上幸範准教授の研究グループは、富山大学の佐藤勝彦特命教授とともに、水環境中に棲息する単細胞生物ソライロラッパムシが周囲のミクロな形の違いに応じて固着場所を選択し、「すみっこ」空間に好んで固着することを発見しました。
研究グループは自然界の形状の複雑さを模した観察容器「ジオラマ環境」を製作することで、体長1 mm程の繊毛虫ソライロラッパムシの特徴的な固着行動とその空間把握方法に迫りました。その結果、観察容器全体を探索していたソライロラッパムシが行動モードを切り替えて、固着前には体の形を非対称に縮ませ壁伝いに移動することが分かりました。この体の形をもとに行動の力学シミュレーションを行ったところ体の非対称性によって壁沿いの移動を実現していることが分かりました。このように単細胞生物は我々のような目を持っていませんが、体の形のシンプルな切り替えによって視覚情報に頼らずとも壁伝いに移動し、すみっこ探索を実現していたことが素朴な観察と物理モデルによる検証から明らかになりました。
ミクロな世界で生きる多様な単細胞生物は食物ネットワークを通して、環境中のあらゆる生態系を支えています。これらの生き物の周りには構造物がありふれており、本研究はミクロな細胞外構造が単細胞生物のニッチ形成を促し、微生物の分布に影響を与えていることを示唆する重要な知見です。
なお、本研究成果は、2026年2月25日(水)公開のPNAS誌(米国科学アカデミー紀要)にオンライン掲載されました。
論文名:Geometrical preference of anchoring sites in the unicellular organism Stentor coeruleus(単細胞生物ソライロラッパムシにおける固着場所の幾何選好性)
URL:https://doi.org/10.1073/pnas.2518816123
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