2026年3月30日
ポイント
●マウスを用いて行動リズムの開始と終了を調整する二つの生物時計に対する運動の影響を検証。
●運動を行う時間帯の違いによって行動リズムの周期や光に対する位相反応が異なることを発見。
●運動の時間帯に注目した新たな生物時計調整法の開発にむけた基礎的データを提供。
概要
北海道大学大学院教育学研究院の山仲勇二郎准教授らの研究グループは、マウスを用いて、明暗サイクル下での習慣的な運動が、行動リズムの周期と光に対する位相変化量を、運動を行う時刻によって異なる方向に変化させることを発見しました。
生物時計は約24時間周期で自律的に振動する時間調節機構であり、哺乳類では視(し)交叉上核(こうさじょうかく)(SCN)がその中枢として機能します。SCNは明暗サイクルに同調し、全身に時刻情報を伝えることで行動リズムを制御します。行動リズムの開始位相と終了位相は、内因性周期や光に対する位相反応が異なるEvening(E)振動体とMorning(M)振動体の二つの生物時計によって調節されるというEM振動体モデルが提唱されています。恒常環境下での習慣的な運動が夜行性げっ歯類の行動リズムに影響することは知られていましたが、明暗サイクル下で運動がEM振動体に与える影響は未解明でした。本研究では、1日3時間の運動を3週間、暗期開始時刻または暗期終了3時間前に行わせ、行動リズムの開始位相(E振動体)と終了位相(M振動体)を指標として解析しました。
その結果、暗期開始時刻で運動したマウスは、非運動条件や暗期終了前の運動条件と比べて、恒常暗環境下でのフリーラン周期が短縮し、8時間前進した明暗サイクルへの再同調が促進されました。また、運動時刻の違いによりEM振動体間の相互協調が変化する可能性も示されました。
これらの成果は、運動の時間帯に注目した新たな生物時計調整法の開発に向けた基礎的データを提供するものですが、ヒトへの応用にはさらなる検証が必要です。
なお本研究成果は、2026年3月27日(金)公開のnpj Biological Timing and Sleep誌にオンライン掲載されました。
論文名:Timed exercise modulates inter-coupling strength between evening and morning oscillators in mice (運動の時間帯が生物時計のペースを変える:マウスで明らかになったEM振動体間の相互協調調節)
URL:https://doi.org/10.1038/s44323-026-00075-3
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