2026年3月9日
ポイント
●病理画像に用いる多重インスタンス学習における注意の「揺らぎ」に着目。
●注意を安定化する新手法ASMILを提案。
●病理診断の高精度化と高信頼化のさらなる進展に期待。
概要
北海道⼤学⼤学院情報科学研究院メディアダイナミクス研究室の⻑⾕⼭美紀教授、小川貴弘教授、同大学数理・データサイエンス教育研究センターの李 広特任助教、トロント大学電気・コンピュータ工学科のコンスタンティノス プラタニオティス教授、池 志祥博士研究員、博士課程の葉 臨峰氏、スタンフォード大学電気工学科のメルト ピランシー教授、シャヤンモハジェル ハミディ博士研究員らの研究グループは、全スライド病理画像(WSI)診断で広く用いられる多重インスタンス学習(MIL)において、学習中にどの領域を重要とみなすかが安定せず揺れ続ける現象を体系的に捉え、この揺らぎを抑えて精度と根拠の一貫性を同時に高める新手法ASMILを開発しました。
WSIはギガピクセル級の超高解像度画像であり、診断に重要な所見はスライド全体の一部に限られる一方、タイル単位の詳細アノテーションは高コストです。そのため、スライドレベルのラベルのみで学習できるMILが有効ですが、注意機構に基づくMILでは学習の途中で注意分布が大きく入れ替わり、根拠が揺らぐことで性能と説明の安定性が損なわれることが課題でした。提案したASMIL手法は、学習の変動に振り回されにくいお手本役のアンカーモデルを併用し、そのモデルを指数移動平均(EMA)でゆっくり更新することで、急な学習変動の影響を受けにくい安定した注意分布を作ります。そして、通常のモデルがその注意分布に近づくように学習させることで注意の揺らぎを抑え、さらに注意の偏りと過学習も低減することで、弱いラベルしかない状況でも一貫した根拠に基づく信頼性の高いWSI診断を目指します。
本研究成果は2026年4月23日(木)〜27日(月)にブラジル・リオデジャネイロで開催される人工知能・機械学習分野の主要国際会議The Fourteenth International Conference on Learning Representations(ICLR 2026)のMain Trackに採択されています。
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