2026年3月26日
ポイント
●小型霊長類マーモセットとマウスで、胎盤形成期に一時的な体重減少や摂食・活動性の変化を確認。
●ヒト妊婦の妊娠初期に見られる体調変化と類似する現象が存在する可能性を示唆。
●妊娠初期の体調変化のメカニズム解明につながり得る基礎的知見。
概要
北海道大学大学院獣医学研究院の矢野(梨本)沙織助教、東京科学大学の黒田公美教授、理化学研究所の新美君枝ユニットリーダーらの研究グループは、小型霊長類マーモセット及びげっ歯類マウスにおいて、妊娠中の胎盤形成期に一時的に体重減少や摂食量減少・活動低下が生じることを明らかにしました。ヒトでは胎盤形成期に「つわり」をはじめとした様々な体調変化が起きることが知られていますが、本研究は、それに類似する生理的変化がヒト以外の哺乳類にも見られる可能性を示したものです。
妊婦のおよそ70~80%は、嘔吐、悪心、食欲不振、体重減少、倦怠感、味覚・嗅覚の変化といった様々な体調変化を妊娠初期に経験します。こうした変化は妊婦のQOLを低下させる一方で、そのメカニズムは十分に解明されておらず、根本的な治療法も限られています。研究が進みにくい要因の一つとして、ヒト以外の動物で類似する現象が存在するかどうかが明らかでなく、適当な動物モデルが確立されていないことが挙げられます。
本研究では、妊娠マーモセットの体重変化を詳細に解析した結果、多くの妊娠では妊娠経過に伴い体重が増加する一方で、約22%の妊娠において胎盤形成期に一時的な体重減少が認められました。さらに妊娠マウスでは、体重に明確な減少は見られなかったものの、胎盤形成期に妊娠に伴う摂食量及び活動性の増加が一時的に抑制されることが確認されました。
これらの結果は、ヒト妊婦の胎盤形成期に見られる体調変化と共通する現象が、ヒト以外の動物にも共通して存在する可能性を示唆するものです。
本研究成果は、2026年3月25日(水)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。
論文名:Transient changes in body weight and behavior during the placentation period in non-human primates and rodents(非ヒト霊長類とげっ歯類における胎盤形成期の一過性の体重・行動変化)
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-026-41314-8
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