2026年3月26日
ポイント
●猛暑により札幌市民の都市緑地の利用が大きく減少することを解明。
●高齢者や女性が暑さの影響を受けやすく、高温時に都市緑地の利用を控えやすい可能性を示唆。
●夏季の高温多湿は都市緑地の有する社会的価値を最大約2,295万米ドル(約34億円)低下。
概要
北海道大学大学院農学院修士課程の王 嘉鈺氏、同大学大学院農学研究院の豆野皓太助教、尾分達也助教、愛甲哲也教授、庄子 康教授からなる研究グループは、気候変動による夏季の高温多湿が、都市緑地の利用と都市緑地が提供する社会的価値に深刻な影響を与えることを明らかにしました。
2023年の記録的な猛暑を経験した札幌市民を対象としたアンケート調査により、夏季の最高気温の上昇が都市緑地への来訪意欲を大きく低下させ、32℃では9割以上の市民が都市緑地の利用を控えることが分かりました。また、高齢者や女性は暑さの影響を受けやすく、高温時に都市緑地の利用を中止する傾向が強いことも示されました。
さらに、スマートフォン位置情報に基づく現在の都市緑地の利用データと、アンケート調査に基づく高温多湿シナリオ下での都市緑地利用意欲を組み合わせた分析により、気候変動による夏季の高温多湿が都市緑地の社会的価値をどの程度低下させるかを推定しました。その結果、夏季の高温多湿は都市緑地がもたらす社会的価値を大きく低下させ、最も極端な条件(34℃、湿度80%)では、年間で最大約2,295万米ドル(約34億円)の損失が生じる可能性があることを定量的に示しました。一方で、水遊び施設や猛暑から一時的に退避できる冷房を備えた屋内施設は、都市緑地の価値低下を抑える効果があることも明らかになりました。本研究は、気候変動が進む中で、暑さに脆弱な人々への影響を軽減しながら都市緑地の利用を維持するためには、気候変動に適応した都市緑地・公園整備が重要であることを示しています。さらに、市民が公平に都市緑地の恩恵を受けられる環境づくりに向けた科学的根拠を提供する成果です。
なお、本研究成果は、2026年1月22日(木)オンライン公開のUrban Forestry & Urban Greening誌及び、2026年3月25日(水)オンライン公開のCommunications Earth & Environment誌に掲載されました。
論文名:When the city gets too hot: Decline in green space visits under extreme summer temperatures(都市が暑くなりすぎた時:猛暑下での緑地利用率の低下)
URL:https://doi.org/10.1016/j.ufug.2026.129312
論文名:Extreme heat and humidity reduce recreational value of urban green spaces(極端な暑さと湿度は都市の緑地のレクリエーション価値を低下させる)
URL:https://doi.org/10.1038/s43247-026-03389-z
詳細はこちら




















