2026年4月23日
ポイント
●同じ配位子を有するα-シリル有機リチウム及びナトリウム錯体の反応性を調査。
●COやCO2との反応において、それぞれの錯体の構造に起因した異なる反応性を示すことを発見。
●ICReDDの計算技術を駆使して反応機構を解析。
概要
北海道大学総合イノベーション創発機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)の神名 航特任助教と林 裕樹特任准教授(研究当時。現・名古屋大学物質科学国際研究センター准教授)及び英国バーミンガム大学博士課程のシャオ・ヤン氏、同大学エアリ・ルー准教授、ニューキャッスル大学のジャック・ヘミングウェイ博士研究員らの国際研究グループは、α-シリル有機リチウム錯体及びα-シリル有機ナトリウム錯体が、同じ配位子を有しながら中心金属の性質によって異なる反応性を示すことを明らかにしました。
α-シリル有機金属錯体は、その特有の反応性から、有機合成においてこれまでに幅広く利用されてきました。中でも、炭素-ケイ素の開裂を伴う多彩な反応性が注目され、これまでに様々な金属種を含むα-シリル有機金属錯体が合成・利用されてきました。しかし、リチウムやナトリウムを中心金属として含むα-シリル有機金属錯体は、複合体を形成しやすく、その単量体の構造や反応性に関する研究は限られており、課題が残されていました。
本研究では、これまで独自に開発してきたα-シリル有機リチウム、及びナトリウム金属錯体を利用して、これらの単量体と、一酸化炭素、二酸化炭素、及びヘテロアレン類(イソシアネートやイソチオシアネートなど)との反応を調査しました。その結果、同じ配位子を有する金属錯体にもかかわらず、中心金属の違いによって、異なる生成物は与えることを発見しました。この異なる反応性の違いは、ICReDDの反応経路自動探索技術である「AFIR法」を活用した計算結果の解析から、中心金属の性質に由来する錯体の構造の違いに起因することが示唆されました。本研究によって、アルカリ金属錯体の反応性に関する新たな知見を得ることができ、今後の有機アルカリ金属錯体の精密設計や有用分子の効率合成などに大きく貢献することが期待されます。
本研究成果は、2026年4月11日(土)公開のAngew. Chem., Int. Ed.誌に掲載されました。
論文名:Tandem Reactivity of Metal-Carbon and Carbon-Silicon Bonds in Mononuclear α-Silyl Organolithium or Organosodium Complexes Towards CO, CO2 and Heteroallenes(単核α-シリル有機リチウム/ナトリウム錯体における金属-炭素結合と炭素-シリコン結合の逐次的反応性:CO、CO2及びヘテロアレン類との反応)
URL:https://doi.org/10.1002/anie.8906317
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