2026年4月2日
ポイント
●200原子超の大きな触媒系に対する反応経路ネットワーク構築に成功。
●約4万6千反応経路を用いた速度論解析により、実験で得られるエナンチオ選択性を理論的に再現。
●NNP/AFIR法に基づき、仮定に依存しない触媒機構解析法を確立。
概要
北海道大学総合イノベーション創発機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)及び同大学大学院理学研究院の前田 理教授らの研究グループは、機械学習と量子化学計算を組み合わせた新しい計算手法により、大規模な不斉触媒反応の反応経路ネットワークを構築し、実験で得られている高いエナンチオ選択性を理論的に再現することに成功しました。
不斉触媒は医薬品や機能性材料の合成に不可欠ですが、その分子は大きく柔軟であるため、どのように立体選択性が生じるのかを理論的に理解することは困難でした。本研究では、200原子を超える触媒系に対して、ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)とAFIR法(人工力誘起反応法)を組み合わせた「NNP/AFIR法」を適用しました。その結果、20,920個の安定構造と48,463本の反応経路からなる巨大な反応経路ネットワークを構築しました。
さらに、このネットワークに基づいてRCMC法と呼ばれる速度論シミュレーションを行ったところ、実験で観測されている高いエナンチオ選択性を再現しました。本研究は、複雑な不斉触媒反応を事前の仮定なしに解析できる新しい理論基盤を示すものです。
なお、本研究成果は、2026年3月30日(月)公開のACS Central Scienceに掲載されました。
論文名:Predicting Enantioselectivity via Kinetic Simulations on Gigantic Reaction Path Networks(巨大反応経路ネットワークに対する速度論シミュレーションによるエナンチオ選択性予測)
URL:https://doi.org/10.1021/acscentsci.6c00079
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巨大反応経路ネットワークを用いた不斉触媒反応予測の概念図。多数の反応分岐が存在することを示している。本研究では、これら数万規模の経路を用いた速度論的解析を行った。



















