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ボールミルを用いた化学反応の特徴的な進み方は反応速度を支配する過程の切り替わりが原因!?~有機化学とソフトマター物理学の融合研究でメカノケミカル合成の律速過程に迫る~(総合イノベーション創発機構化学反応創成研究拠点 特任准教授 山本哲也)

2026年4月24日

ポイント

●ボールミルを用いたメカノケミストリーの反応速度理論の構築に成功。
●メカノケミカル合成の特徴的な進み方は、律速過程の切り替わりが原因であることを示唆。
●メカノケミカル合成の反応設計論への展開に期待。

概要

北海道大学総合イノベーション創発機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)の山本哲也特任准教授、原渕 祐特任教授、江 居竜准教授、WPI-ICReDD及び同大学大学院工学研究院の久保田浩司教授、伊藤 肇教授らの研究グループは、有機化学とレオロジーの融合研究にて、ボールミルによるメカノケミカル有機合成の反応速度を決定する過程を予言する理論の構築に成功しました。

従来の希薄溶液中での有機合成とは異なり、ボールミルを用いたメカノケミカル有機合成は、溶媒を必要としない、効率的な合成法として注目を集めています。希薄溶液中では、多くの場合、反応が進むと反応物が少なくなるので、時間とともに反応が減速します。一方、同じ反応をメカノケミカル合成で行うと、最初は時間とともに反応が加速し、時間が経つと減速することが実験的に観察されています。本研究では、ソフトマター物理学でしばしば用いられるスケーリング理論をメカノケミカル反応系に応用することにより、その反応速度を解析するための理論を構築しました。

メカノケミカル反応の速度は、反応自体の速さと分子の生成物相へのしみこみやすさ(拡散)のバランスで決まります。この合成法では、しばしば反応物が固体状態のまま合成が行われます。二つの固体間の反応はその界面で起こるため、生成物を主成分とする層(生成物層)が形成されますが、反応によって生成物が作られるにつれてその厚さが増えていきます。反応は主に生成物層で起こりますので、反応初期では反応する場所が増えるために反応が加速するのに対し、反応中期以降では生成物層が厚くなりすぎて、反応物が出会い難くなるために反応が減速することを理論的に明らかにしました。本研究は、メカノケミカル反応を物理化学的に明らかにし、その設計論に発展することが期待されます。

なお、本研究成果は、2026410日(金)公開のChinese Physics B誌にオンライン掲載されました。

論文名:Crossover of rate-limiting processes in mechanochemical reactions under flow driven by applied mechanical stress(応力によって生じる流動下のメカノケミカル反応の律速過程のクロスオーバー)
URL:https://doi.org/10.1088/1674-1056/ae5db4

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