2026年5月22日
北海道大学
京都大学
ポイント
●従来のマイクロサテライトマーカーによる遺伝子鑑定の精度を一塩基多型に基づく手法で再評価。
●従来手法での外来種及び交雑個体の識別精度は最高でも6~8割程度にとどまることを明らかに。
●より正確な遺伝子鑑定手法の必要性を示し、在来種保全に向けたモニタリングに重要な知見を提供。
概要
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション和歌山研究林の福山伊吹特任助教、京都大学大学院人間・環境学研究科の西川完途教授、松井正文名誉教授、原壮大朗特定助教、福谷和美博士課程学生(研究当時)、松原康平修士課程学生(研究当時)、国立科学博物館の吉川夏彦研究員、北九州市立自然史・歴史博物館の江頭幸士郎学芸員、琉球大学教育学部の富永 篤教授らの研究グループは、西日本で深刻な問題になっているオオサンショウウオ交雑個体の遺伝子鑑定で、従来用いられてきたマイクロサテライトマーカー(SSR)による遺伝鑑定の精度をより高精度な一塩基多型(SNP)に基づく手法で再評価し、従来手法では詳細な遺伝子鑑定には限界があり、特に交雑の進んだ個体の検出には不十分であることを明らかにしました。
外来種と在来種の交雑は生物多様性保全における深刻な問題です。日本では、特定外来生物であるチュウゴクオオサンショウウオと在来種で国の特別天然記念物であるオオサンショウウオとの交雑が確認されています。近年では、京都府を中心に、愛知県から広島県までの広い地域で交雑個体が見つかっており、大きな問題となっています。本研究では、この交雑個体の識別に従来用いられてきたマイクロサテライトマーカーの精度を、ゲノム全体から得られた一塩基多型データと比較して再評価しました。京都市で採集した130個体を解析した結果、マイクロサテライトマーカーを用いた場合の外来種や交雑個体の各遺伝子型の識別精度は最大でも約64〜77%にとどまり、特に遺伝子座数が少ない場合には交雑個体を在来種と誤判定する傾向が明らかとなりました。また、従来の手法でも在来種の識別精度は比較的高かったものの、交雑が進んだ個体の検出には限界がありました。本成果は、オオサンショウウオの保全戦略の策定に重要な指針を提供する大きな成果と言えます。
なお、本研究成果は、2026年5月8日(金)公開のLimnology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Reevaluation of the genetic identification accuracy using SSR markers of giant salamander hybrids by SNP analysis.(オオサンショウウオ交雑個体のSSRマーカーを用いた遺伝子鑑定精度のSNP解析による再評価)
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s10201-026-00844-w
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