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亜酸化窒素を無害化する貴金属を用いない電極材料の開発~温室効果ガス排出抑制への貢献に期待~(地球環境科学研究院 准教授 加藤 優)

2026年5月27日

北海道大学
工学院大学
高輝度光科学研究センター
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター
近畿大学

ポイント

●CO2の約300倍の温室効果を示す亜酸化窒素(N2O)を無害化する比較的安価な電極材料を開発。
●開発した電極材料のN2O浄化活性は分子系貴金属を用いない電極触媒の中では世界トップクラス。
●亜酸化窒素の排出抑制に伴う気候変動の抑制や地球環境保全に貢献。

概要

北海道大学大学院地球環境科学研究院の加藤 優准教授、工学院大学教育推進機構基礎・教養科の桑村直人准教授、高輝度光科学研究センター産学総合支援室の渡辺 剛主幹研究員、九州シンクロトロン光研究センタービームライングループの瀬戸山寛之主任研究員、近畿大学理工学部応用化学科の朝倉博行講師らの共同研究グループは、高価な貴金属を用いない鉄やコバルト、ニッケルを用いた亜酸化窒素(N2O)を無害化する電極材料の開発に成功しました。

N2Oは二酸化炭素の約300倍の温室効果があるだけでなく、今世紀最大のオゾン層破壊物質でもあります。このN2Oを室温・常圧の温和な条件下で浄化する技術として、電気分解によるN2O浄化(電解N2O浄化法)がありますが、電極材料としてプラチナやパラジウムなどの高価かつ希少な貴金属が一般的に用いられています。そのため、貴金属を含まない比較的安価かつ高いN2O浄化活性を示す電極材料の開発が望まれていました。

本研究では、電極触媒として、比表面積が広い炭素粉末に固定化された金属錯体を開発し、それらの電気化学N2O浄化活性を調べました。用いた電極触媒の特徴は、硫黄原子を含むジチオレン配位子と比較的安価な鉄、コバルト、ニッケルイオンを組み合わせた金属錯体を用いた点です。得られた電極触媒を用いて室温、常圧、水溶液中でのN2O浄化を実施した結果、コバルト錯体が特に高い活性を示し、そのターンオーバー頻度は、貴金属を用いない分子系電極触媒の中でも世界一(860h-1)であることが分かりました。また、国内放射光施設(SPring-8、高エネルギー加速器研究所、九州シンクロトロン光研究センター)でのX線吸収・発光分光測定などや量子化学計算を実施した結果、空気中では不安定であるコバルト(I)価イオン種が生成し、触媒活性を示していることが明らかとなりました。本成果は、N2O浄化に伴う温室効果ガスの排出抑制や地球環境保全のための基盤技術としての展開が期待されます。

本研究成果は、202653日(日)公開のJournal of the American Chemical Society誌にオンライン掲載されました。

論文名:Electrocatalytic N2O Reduction Catalyzed by Carbon-Supported Metal-Bisdiaryldithiolene Complexes in Water(カーボン担持ビスジチオレン配位金属錯体により触媒される水中での電極触媒的亜酸化窒素還元)
URLhttps://doi.org/10.1021/jacs.6c03398

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