2026年6月30日
ポイント
●過酸化水素水と光を用いた水中結晶光合成で銅ドープWO3・H2Oナノ結晶の簡便作製に成功。
●光照射下での光電気化学測定により静電容量性から導電性への遷移発現機構を解明。
●光水分解による水素生成過電圧が光強度増加により減少するというエネルギー利得性を実証。
概要
北海道大学大学院工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センターの張 麗華准教授、渡辺精一教授らの研究グループは、水と光のみを用いた水中結晶光合成(SPsC)という独自の手法をもとに、過酸化水素入りのタングステン水溶液に銅を微量添加して紫外光を照射するだけで、銅ドープのタングステン酸(WO3・H2O)半導体ナノ材料の作製に成功しました。
それを用いて可視光照射をしながら光電気化学測定を行ったところ、電位掃引速度に応じて、電荷をため込む「静電容量性(キャパシター的)挙動」と、電子を流す「導電性(コンダクター的)挙動」の両挙動を選べることが明らかとなりました。また、電気電導の際のキャリア電子密度が光照射強度に比例して増加していくことも今回明らかにしました。さらに光水分解を用いた水素生成の際に重要な因子である過電圧については、光照射増加により100mV近くまで減少する利得性を実験と定式理論により実証することができました。
光応答性ナノ粒子を均一に分散させた材料は、太陽電池、光触媒など太陽光を念頭に置いた持続可能なエネルギー利用に向け研究開発が進められています。本研究の成果は、今後の水素エネルギー確保や新たな機能性半導体を用いたエネルギーデバイス開発に向けての工学的応用が期待されます。
なお、本研究成果は、2026年6月12日(金)公開のResults in Engineering誌にオンライン掲載されました。
論文名:Photoinduced capacitive-to-conductive transition in Cu-doped tungsten oxide hydrates toward enhanced photoelectrochemical energy conversion(光電気化学エネルギー増強につながる銅ドープタングステン酸の光誘起静電容量―導電性遷移)
URL:https://doi.org/10.1016/j.rineng.2026.111527
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