2026年6月8日
ポイント
●バッタの発音器の形態と音の高さに交通騒音が及ぼす影響を検証。
●騒音が増えると発音器の突起の密度が最大13%高くなることを発見。
●動物への騒音の影響に形態の変化という新たな視点を提供。
概要
北海道⼤学⼤学院環境科学院修士課程(研究当時)の吉谷 晟氏、同⼤学⼤学院博⼠後期課程の中岡佳祐⽒、同⼤学⼤学院地球環境科学研究院の先崎理之准教授らの研究グループは、音を発する昆虫であるヒナバッタ(バッタ目バッタ科)を対象として、それらが発する音の高さ(周波数)と音を出す器官(発音器)の形態に自動車由来の交通騒音が与える影響を検証しました。
音を発する動物の中には、騒音の存在下でも相手に声が届くように、音の高さを変える種がいます。こうした応答において、鳥などは騒音下で柔軟に鳴き声の高さを変える一方で、体の部位をこすり合わせて発音する昆虫では、その部位の形態が変化している可能性があります。そこで本研究では、道路脇から静かな公園まで異なる騒音条件下の草地でバッタを採集し、生息地の騒音の大きさと、バッタが発する音の高さ、後脚にある発音器の形態との関係を分析しました。その結果、騒音の大きい生息地の個体の方が、発音器の突起の密度が高い傾向にありました。一方で、騒音量は発音の高さに影響を与えているとは言えませんでした。これらは、騒音の大きさに応じて形態が変化することを示唆する一方で、その変化が生き物にとって必ずしも利益をもたらすとは限らないことを示しています。
本研究の成果は、騒音が動物の行動だけでなく、形態にも影響を与える可能性を示しました。これは人間が動物に与える影響を理解し低減するうえで、新たな視点を提供するものと言えます。
なお、本研究成果は、2026年5⽉5⽇(火)公開のCommunications Biology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Male grasshoppers (Glyptobothrus maritimus) in roadside habitats have increased stridulatory sound-producing organs(道路沿いに生息するバッタ Glyptobothrus maritimus のオスは摩擦発音器官が増加する)
URL:https://doi.org/10.1038/s42003-026-10181-4
詳細はこちら




















