2026年6月8日
ポイント
●ミレットの機能性食品としての可能性を示す。
●代謝健康における生理活性脂質の重要性を強調。
●FAHFA(ヒドロキシ脂肪酸エステル)の検出を報告。
概要
北海道大学大学院保健科学研究院のボメ ゴウダ シッダバサーブ ゴウダ准教授及び惠 淑萍教授らの研究グループは、インド産食用ミレットを対象に非標的型LC/MSによる包括的脂質解析を行い、生理活性脂質である脂肪酸エステル型ヒドロキシ脂肪酸(FAHFAs)を同定することで、ミレットの機能性食品としての新たな可能性を明らかにしました。
近年、ミレットは低グリセミック指数食品として注目されており、糖尿病や肥満、心血管疾患などの代謝性疾患予防における機能性食品としての可能性も指摘されています。しかしながら、ミレットに含まれる脂質成分の詳細な分子レベルでの解析は十分に行われておらず、特に脂肪酸エステル型ヒドロキシ脂肪酸(FAHFAs)のような微量かつ生理活性を有する脂質分子についての情報はほとんど報告されていません。
本研究は、こうした知見の不足を補うことを目的とし、複数種類のインド産ミレットを対象に多様な脂質分子を体系的にプロファイリングしました。非標的型LC/MS解析と多変量統計解析を組み合わせることにより、ミレットの種ごとに特徴的な脂質プロファイルを明らかにし、機能性脂質の定量を行いました。
その結果、ミレットは栄養源としての価値のみならず、抗炎症作用やインスリン感受性改善作用が示唆されるFAHFAsを含む機能性食品としての潜在力を有することが示されました。さらに、品種間で脂質組成に顕著な差異が認められ、特定の品種は機能性脂質の豊富な供給源として有望であることが示唆されました。
これらの結果から、ミレットに含まれる脂質の多様性と機能性脂質の存在に関する基盤的知見が得られたと考えられます。本研究成果は、機能性食品の開発、栄養評価、さらには品種改良や栽培戦略の設計に応用可能であり、ミレットの健康機能性に関する科学的理解を深めるとともに、持続可能な食料システムの構築や国際的な栄養戦略への貢献が期待されます。
なお、本研究成果は、2026年3月7日(土)公開のFood Chemistry誌にオンライン掲載されました。
論文名:Comprehensive lipidomic profiling of dietary Indian millets and identification of fatty acid esters of hydroxy fatty acids by untargeted LC/MS (非標的型LC/MSによるインド産食用ミレットの包括的脂質オミクス解析及び脂肪酸エステル型ヒドロキシ脂肪酸(FAHFAs)の同定)
URL:https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2026.148792
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