2026年6月12日
ポイント
●深海性で小型の卵胎生サメであるフジクジラは東北太平洋沖で非常に高い生物量を示す。
●本種の年齢査定法を確立し、成長速度を推定するとともに繁殖特性を調査。
●産子数は少ないものの、近縁種と比べ高成長かつ早熟であることが繁栄につながると指摘。
概要
北海道大学大学院水産科学研究院の山村織生准教授、同大学大学院水産科学院修士課程2年の平原新大氏及び水産研究・教育機構水産資源研究所の成松庸二副部長らの研究グループは、東北太平洋沖に卓越して分布する深海性の小型サメ種であるフジクジラについて、年齢査定法を確立し、成長速度と繁殖特性を調査しました。
深海性のサメ類は、一般に成長が遅く卵胎生で産み出す子の数が少ないことから繁殖力が弱く、多くの種が絶滅危惧種に指定されています。一方、東北太平洋沖の深海に生息するフジクジラは小型のサメでありながら非常に高い生物量を示しており、その繁栄の理由は長らく不明でした。本研究で明らかにした成長速度や成熟年齢を他のツノザメ目サメ類と比べたところ、フジクジラは体のサイズが最小で早熟かつ最大の成長率を示しました。このことから、フジクジラは少産ながらも成長が速く早熟であるr−選択的な生活史特性により、高い生物量を実現していると結論付けられました。
本研究で明らかにしたフジクジラの生活史特性は、これまで低成長で成熟に時間を要すると考えられてきた深海性サメ類の新たな側面を示すものであり、板鰓類の多様な生態を理解するうえで重要な情報となり得ます。
なお、本研究成果は、2026年5月31日(日)公開のJournal of Fish Biology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Life-history traits of the blackbelly lanternshark Etmopterus lucifer off the Pacific coast of northeastern Japan(東北太平洋沖に生息するフジクジラの生活史特性)
URL:https://doi.org/10.1111/jfb.70514
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