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南極は地球外起源の生命関連分子の宝庫~南極の氷床で発見された隕石から生命を構成する核酸塩基全5種を検出~(低温科学研究所 准教授 大場康弘)

2026年7月17日

ポイント

●南極氷床で発見された炭素質隕石から地球生命を構成する核酸塩基全5種を初めて検出。
●南極に落下して氷床に埋もれた隕石は、地球外起源の初生的な核酸塩基を含有。
●数十万年に及ぶ氷床の中での滞在期間中、一部の分子は低温環境での化学反応で変化。

概要

北海道大学低温科学研究所の大場康弘准教授、東北大学の古川善博教授、海洋研究開発機構の高野淑識上席研究員らの研究グループは、南極の氷床で発見された炭素質隕石から、地球生命の遺伝子を構成する全5種の核酸塩基を検出することに成功しました。

雪と氷に覆われた南極大陸では、これまでに国内外の南極観測隊によって4万個以上の隕石が発見されています。日本は世界中でも南極産隕石を豊富に保有する国の一つで、17千個以上保有しています。これまでの研究で、南極産炭素質隕石から地球生命の遺伝子を構成する核酸塩基5種のうち、アデニン(A)とグアニン(G)の2種が検出された例はありましたが、それ以外の3種を検出した例はありませんでした。

今回、研究代表者らが小惑星リターンサンプル分析で培った分析技術を駆使して、国立極地研究所から配分された6種の南極産炭素質隕石から、隕石固有の核酸塩基検出を試みました。その結果、すでに検出されていた2種に加えて、シトシン(C)、ウラシル(U)、チミン(T)の3種も同時に検出し、非南極産のマーチソン隕石や小惑星リュウグウ、ベヌー試料と同様に、地球生命に用いられる全5種の核酸塩基すべてを検出することに成功しました。さらに、隕石発見場所近傍の南極氷床コアサンプルから核酸塩基検出を同じ分析方法で試みましたが、それらの分子は検出されませんでした。このことは、隕石が南極に落下してから経過した期間内(およそ10万年程度)に、隕石が地球上で生命由来の核酸塩基に汚染されなかったことを意味します。一方、検出された核酸塩基の一つ、シトシンが、南極という低温環境下でありながら、地球落下後の二次的な化学反応で別の核酸塩基、ウラシルに変化していたことが示唆されました。こうした南極隕石にみられる普遍的な核酸塩基の分布は、これまでの予想以上に地球外核酸塩基が生命誕生前の地球へと供給されていたことを示唆し、これらの分子が生命誕生前の化学進化に強く寄与していたことが期待されます。

なお、本研究成果は、202676日(月)公開のGeochimica et Cosmochimica Acta誌にオンライン掲載されました。

論文名:Distribution of purine and pyrimidine bases in Antarctic carbonaceous meteorites(南極産炭素質隕石中プリン、ピリミジン塩基の分布)
URL:https://doi.org/10.1016/j.gca.2026.06.040

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地球生命の核酸塩基全5種を含む南極産炭素質隕石の概念図