2026年7月2日
ポイント
●1970~2020年代にかけてヘラシギの日本全域の年平均観察個体数は約90%減少。
●ヘラシギが観察された80地域では、1950~2020年にかけて砂浜が58%、干潟が54%縮小。
●過去10年よりも50年間の干潟・砂浜面積の縮小が観察個体数の減少と強く関連。
概要
北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の清水孟彦氏と同大学大学院地球環境科学研究院の先崎理之准教授らの研究グループは、過去の文献やバードウォッチャーの観察記録などをもとに、絶滅危惧種の渡り鳥であるヘラシギが日本列島のいつ・どこで記録されたのかを調べました。さらに、1950~2020年にかけての自然生息地(干潟・砂浜)と人工生息地(埋立地)の面積変化を定量化し、観察個体数との関連性を分析しました。その結果、ヘラシギの観察個体数は1970年代以降減り続けていましたが、特に1980~1990年代の減少が顕著でした。また、自然生息地は1950年以降一貫して減少したのに対し、人工生息地は1970年をピークに、その93%が2020年までに消失していました。さらに、ヘラシギの観察個体数は、観察時点から10年前の自然・人工生息地の面積変化との関連を示さなかった一方、1950年比で自然生息地が減少した地域ほど有意に少ないことが分かりました。
生息地の縮小が生物の個体数を減少させることは広く知られていますが、影響が現れるまでの時間や複数の生息地タイプ間での影響の違いについては十分に分かっていませんでした。本研究結果は、生息地の変化がヘラシギの分布に反映されるまでには少なくとも10年以上の時間を要すること、そして長期的な自然生息地の保全や生物のモニタリングが重要であることを示しています。
なお、本研究成果は、日本時間2026年5月25日(月)公開のEstuarine, Coastal and Shelf Science誌にオンライン掲載されました。
論文名:The impacts of seventy years of changes in stopover habitats on the critically endangered Spoon-billed Sandpiper Calidris pygmaea in Japan(日本における70年間の中継地変化が絶滅危惧種ヘラシギに与える影響)
URL:https://doi.org/10.1016/j.ecss.2026.110005
詳細はこちら




















