2026年7月24日
ポイント
●北大の学生サークル「クマ研」がモニタリングした秋期のヒグマの食性データを解析。
●ヒグマのデントコーン利用がミズナラとデントコーンの利用可能性に左右されることが判明。
●自然資源だけでなく、農作物の利用可能性を管理する事前防除の重要性が示唆。
概要
北海道大学大学院獣医学研究院の坪田敏男教授(研究当時、現・北海道大学名誉教授)、同大学大学院理学院博士後期課程3年、北大ヒグマ研究グループ(以下、「北大クマ研」)の金杉尚紀氏らの研究グループは、ヒグマによるデントコーン利用がミズナラとデントコーンの双方の利用可能性に左右されていることを明らかにしました。北大クマ研は北海道大学の学生で構成された学生サークルであり、北海道大学天塩研究林において、1975年からヒグマの調査を継続的に行ってきました。本研究では、北大クマ研による調査で収集されたデータを基に解析が行われました。本成果は、ヒグマによる農作物被害を防止する上で、農作物自体の利用可能性を管理する未然防除の重要性を示唆したものです。また、本成果は学生主体のモニタリング調査によって野生動物の保護管理における重要な知見が得られた希有な例でもあります。
野生動物による農作物被害をはじめとする、野生動物と人間の軋轢は大きな社会問題となっています。農作物被害の発生要因を特定するためには、自然の食物の利用可能性だけでなく、農作物の利用可能性も考慮することが重要です。しかし、多くの先行研究では、その一方のみに着目して研究がなされてきました。ヒグマによるデントコーンの利用についても、ミズナラが不作の年にその利用が増加することは知られていましたが、デントコーン自体の利用可能性の重要性は不明でした。
そこで、本研究ではミズナラとデントコーンの利用可能性が、ヒグマによるデントコーンの利用に影響を与えるのかを解析しました。その結果、双方が統計的に有意に影響を与えていることが明らかになりました。このことから、ヒグマによるデントコーンの利用を防止するためには、農作物の利用可能性を管理することも重要であることが示唆されました。
なお、本研究成果は、2026年7月20日(月)公開のWildlife Biology誌にオンライン掲載されました。
論文名:The relative abundance of crop and natural food influences crop consumption by brown bears(ヒグマによる農作物利用の発生に自然の食物と人為的な食物の利用可能性が与える影響)
URL:https://doi.org/10.1002/wlb3.01693
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