2026年7月27日
ポイント
●サッカーを模した共同課題を用い、チームの結果が個人の運動学習に与える影響を実験的に調査。
●パサーの誤差修正が、シュートの結果(成否、誤差方向)によって修飾されることを発見。
●チームの成否や最終的な誤差が、それに直接関与しない個人の運動学習をも左右することを示唆。
概要
北海道大学大学院教育学院博士後期課程の松田直祥氏(研究当時、現・国立研究開発法人情報通信研究機構 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター)、同大学教育学部の粥川陽生氏(研究当時)、同大学大学院教育学研究院の阿部匡樹教授による研究グループは、サッカーのパスとシュートを模した二人組の協調運動課題を用いて、チーム全体の成功・失敗が、その結果に直接関与しない個人の運動学習に影響を及ぼすことを発見しました。
サッカーなどのチームスポーツでは、個々のプレーは必ずしもチームの最終結果に直結しません。たとえば、最後のパスが多少乱れても、シューターが難しいシュートを決めればチームは得点できます。しかし、選手個人の上達という観点に立つと、チームの結果(成功か失敗か)にかかわらず、直前のパスミスのような個々の行為の結果を正確にとらえ、そこからより良い動きを学ぶことが望まれます。本研究は、このような複数人が関与する協調運動課題において、個人が自分の行為の結果をチームの成否と切り離して学べるのか否かを検討しました。
実験では、二人の参加者がパサー・シューター役を担い、ゲームパッドを操作してディスプレイ上のボールを目標へ運ぶ課題を行いました。その結果、パサーは自分のパスの誤差を次の試行で打ち消すよう修正しましたが、チームの成功後にはこの修正量が失敗後よりも小さくなる、パスとシュートの誤差方向が一致するときには修正量が大きくなる、という二つの影響が確認されました。一方、参加者によって報告された誤差は実際の誤差よりも小さく見積もられていましたが、その傾向はチームの成否には影響されませんでした。これらの結果は、チームとしての結果が、本人の主観的な誤差知覚とは無関係に個人の運動学習を調整しうることを示唆しています。
なお、本研究成果は、2026年6月8日(月)公開のJournal of Neurophysiology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Influence of team task outcomes on individuals' responses to their own errors(個人の誤差応答に及ぼすチームの課題成績の影響)
URL:https://doi.org/10.1152/jn.00109.2026
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