2026年7月31日
ポイント
●夜間人工光が海洋付着生物群集の群集構造を変化させることを発見。
●夜間人工光の影響は一定ではなく、群集の遷移に伴って変化することを初めて実証。
●街灯レベルの人工光でも群集が大きく変化することを確認し、広範囲への影響を示唆。
概要
北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の津金響子氏と同大学北方生物圏フィールド科学センター水圏ステーション厚岸臨海実験所の仲岡雅裕教授は、夜間人工光が海洋付着生物群集の群集構造、多様度、生物量に影響を与え、その影響が群集の遷移とともに劇的に変化することを明らかにしました。
夜間に照射される人工照明は都市化や工業化に伴い増加し続けており、特に人口の集中する沿岸部は夜間人工光に強くさらされています。しかし、夜間人工光の海洋生態系に対する影響は不明な点が多く、これまでに生物群集にどのように影響するのかを検証する研究はほとんどありませんでした。
本研究は、一度加入したら移動できない海洋の生物で構成される「海洋付着生物群集」を対象とし、夜間人工光がどのような影響を与えるのかについて、24週間にわたる野外実験によって調べました。
その結果、夜間人工光は海洋付着生物群集の群集構造を大きく変化させることが分かりました。実験開始の初期においては夜間人工光を照射した群集は、生物量が高くなった一方、多様度が低下し、中期においては、生物量が低下した一方、多様度が高くなりました。
本研究は夜間人工光の影響が群集の遷移に伴って変化することを、定期的な調査を伴う長期実験によって初めて明らかにしました。これらの変化を引き起こすメカニズムを解明するための研究のさらなる進展が期待されます。
なお、本研究成果は、2026年7月7日(火)公開のMarine Pollution Bulletin誌にオンライン掲載されました。
論文名:Effects of artificial light at night on marine sessile communities during early succession(海洋付着生物群集の初期遷移に対する夜間人工光の影響)
URL:https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2026.120085
詳細はこちら

開発が進む沿岸部は特に夜間人工光に強くさらされている。写真は、「世界三大夜景」、「百万ドルの夜景」として有名な香港中心部の港(撮影:津金)



















