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動物とヒトの尿路を守る上皮バリア形成の仕組みに迫る~17型コラーゲンが尿管の尿路上皮バリアの正常な発達を支えることを発見~(獣医学研究院 教授 市居 修)

2026年8月4日

ポイント

●マウス尿管上皮の17型コラーゲンは若齢個体で強く、成熟個体で弱く発現。
●17型コラーゲン欠損マウスにおける尿管の尿路上皮の形態及び分子発現異常を発見。
●動物やヒトのCOL17A1遺伝子異常症例において、尿路評価が重要となる可能性を提示。

概要

北海道大学大学院獣医学院博士課程の酒々井エイミー氏、同大学大学院獣医学研究院の市居 修教授、難波貴志助教、同大学One Healthリサーチセンターの大谷祐紀特任助教、同大学情報基盤センターの鐘 睿特任助教、同大学大学院医学研究院の夏賀 健准教授らの研究グループは、マウスを用いた研究により、尿管の尿路上皮に発現する17型コラーゲン(COL17A1)量が成長に伴って変化することを明らかにしました。さらに、COL17A1を全身性に欠損させたマウスでは尿管尿路上皮の形態異常が観察され、COL17A1が尿管の正常な発達と維持に重要な役割を果たすことが分かりました。

COL17A1は主に皮膚に強く発現しており、その遺伝子異常は接合部型表皮水疱症(JEB)の原因となることが知られています。これまで市居教授らのグループは、COL17A1がヒトや動物の泌尿器、特に病態時の腎盤(腎盂)や尿管の尿路上皮にも発現することを見出していました。尿路上皮は、尿から体内組織を保護するバリアとして機能しており、このバリアの破綻は腎障害や尿路疾患の発症に関与します。さらに当グループは、病態が進行する過程で尿路上皮におけるCOL17A1の発現が増加し、上皮の修復、局所炎症、尿路関連リンパ組織(UTALS)の形成に関与することも報告してきました。このように病態時における働きが明らかになりつつある一方で、健康な状態の尿路上皮において、COL17A1がどのような役割を果たしているのかについては不明でした。

本研究では、健康なマウスの尿管の尿路上皮に発現するCOL17A1を経時的に観察しました。COL17A1は若齢マウスの尿管の尿路上皮で特に強く発現しますが、成熟マウスではその発現が低下し、成長時期によって発現量が変化しました。さらに、COL17A1全身性欠損マウス(JEBモデルマウス)では、尿管の尿路上皮の形態異常が認められ、上皮の成熟に関連する他の分子の発現低下も確認されました。これらの結果から、COL17A1は障害時の上皮修復だけでなく、正常な尿管の尿路上皮の成熟やバリア形成にも重要な役割を果たすことが示唆されました。

本研究は、尿路上皮が正常に発達・成熟する仕組みについて新たな知見をもたらすものです。また、JEBの原因となるCOL17A1遺伝子異常が尿路に及ぼす影響への理解を深め、動物やヒトのJEB症例における尿路評価の重要性を示す成果でもあります。

なお、本研究成果は、2026427日(月)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。

論文名:Morphological abnormalities in the ureter of type XVII collagen-deficient mice17型コラーゲン全身欠損マウスにみられる尿管の形態異常)
URLhttps://doi.org/10.1038/s41598-026-49868-3

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